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メタモルフォーゼの縁側のFumiのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
4.2

原作も内容も何も知らず、なにわ男子が出てたこともエンドロールで知ったぐらい全く期待せずに観に行ったのに、久しぶりに何度も涙を流してしまった。

日本の作品にはこういう全ての世代に希望を感じさせるような作品が必要だと強く感じる。

芦田愛菜が特に素晴らしい。
これまできちんと描かれてこなかったような、17歳にとっての普通の悩みやちょっとした嫉妬やほんの少しの自己嫌悪、でもその中に希望や未来を信じる当たり前の高校生の日常の感情をとても丁寧に表現していた。特別感動を誘う場面でもないのに、芦田愛菜の姿にかつての自分を重ねたのかなんなのか、分からないけど自然と何度も涙が込み上げてきた。

好きなものや大切なものを大切にするということは、とても難しいと言っていた気持ちに共感し、かつて17歳だった過去の自分も一緒に抱きしめたくなった。

病気や犯罪や過激な感情表現を多用した作品や問題提起的な作品が最近の邦画はあまりにも多いので(それ自体は悪くないが多すぎて疲れてしまった)こういう、丁寧な演出に徹底した良質な作品がとても嬉しかった。
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