心温まる優しい映画でした。
夢や好きなものを表現する恥ずかしさ、人を羨む気持ち、頑張ってチャレンジしてみても土壇場で怖気付いてしまう感覚、うららが持つ悩みは多くの人が感じたことのあるものかと思います。
今回はBLを扱っていることもあって、恥ずかしさという部分に焦点があたる時間が比較的ありましたが、「その"恥ずかしい"という気持ちは隠す必要ないんだよ」というアプローチだけではないところが温かい作品だなと思いました。
雪さんも自分の字が好きじゃなくてファンレターを出せなかった過去がありましたが、それがあったからこそ今は習字の先生になっていて、「恥ずかしいという感情でも良いよ。それがいずれ何かにも繋がるかもしれないよ。なるようになる。」という風に感じました。
この辺りが観客の気持ちを置いてけぼりにしないというか、理想論で突き放さないというか、寄り添ってくれる優しい映画だなと思いました。
タイトルで使われている"縁側"については、うららが初めて雪さんの家を訪れた際に入ったのは玄関ではなく縁側であったことから、縁側は人と人との交流の場という意味で扱っているのかなと思いました。そしてその交流の場の具体例の一つが今作の中心となるBLであると。
縁側は家の内と外のちょうど真ん中に存在している場所で、そこでの交流を以てメタモルフォーゼするのだろうなと。
