眼鏡の錬金術師

メタモルフォーゼの縁側の眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

書道の先生であるおばあさん雪と書店でバイトをしている女子高生うららが主役。彼女らを結びつけたのはひとつのBLマンガだった。

雪はBL初心者。うららはBL上級者だ。
歳こそ離れているが、徐々に2人は同じ趣味を分かち合える同志となった。

うららは幼馴染みの男の子が気になっている上に、スクールカースト上位の彼女へコンプレックスを強く感じていて、いつも自己開示できずにイライラしているし、時に嘘もつく。この辺はとても一般的な女の子っぽくて良かった。こういう人の不完全さを表現するのは非常に好感が持てる。

同人誌即売会に自分でマンガを作って売ることにしたうらら。絵は決してうまくはないが、うじうじ悩んで何もやらない人が多いなか、自分だけの作品を一作作り上げたこと、実践したことは大いに評価できる。これをやりとげられたのはやはり雪おばあさんとの交流があったからこそだろう。無かったらたぶん途中でやめてた。

コメダ優と雪おばあさんのやり取りとか、うららの悔し泣き、最後のサイン会のシーンは何故か結構泣けた。
少なくとも創作していない者は創作してる者を笑うことはできないはずだし、誰か一人にでも届いているならそれはとても価値があることなのかもしれない。
うららは自尊心を獲得できたらいいね。

すげー良い作品だった。