億千

ハケンアニメ!の億千のネタバレレビュー・内容・結末

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

あと…あとちょっとズブズブに浸からせて欲しかった…!!
私が求めてる物がハッキリとしすぎてて、少し物足りなさを感じてしまいました。

私的にはもっと仕事仲間の深いやり取りや、お互いの主張がぶつかり合って折り合いつけるのが難しいとか、皆正義なんだけど上手くいかないとか、そういう所を深掘りして欲しかった。
もしくはそうじゃないなら、それぞれのキャラをもっと魅力的に描いて欲しかったかなぁ〜、主人公サイドの会社のキャラが、悪くないけど感情移入までは出来なかった。ただただ主人公を孤立無援にするためだけのキャラたち。
むしろ王子サイドのが好きだったなぁ。リデルライトの最終話のラストを観ているおのまちの横顔の美しさよ。自分の生み出した物をあんなに慈しむような表情で観てくれたら、そりゃ結婚するかってなるわ。

私は原作未読なんですが、辻村深月の小説で、キャラ造形がこんなもんなのか?そんな訳ない…と思うんだよねぇ…。スロウハイツの神様を読んだときに、この作家はえげつないくらいオタクへの理解が厚いと思ったので、この題材でこんなもんだとは思えない。多分映画の尺に収めるためにダイジェスト的になってしまって、どこに主眼を置けばいいのか、ちょっと分かりづらい構造になってしまったのではないかと思う。

サウンドバックのラストを、ご都合主義じゃないように変更する、現実はそんなもんじゃないから、と言っていたけど、そこに向かう君たちの物語の方が余程ご都合主義に映るよ…と思ってしまったり。
めちゃくちゃ惜しいのは柄本佑の役。絶対こいつ原作でいい味出しまくってるキャラだよ!佑使ってるのに勿体無いよ!そう、全体的にいい役者さんを揃えているのに、生かしきれてないのも、サバクと一緒じゃん、むしろサバクの方がその辺乗り越えてんじゃん…と。主演声優への、ラストの台詞を好きに言っていい、という指示は熱かった。

一方で声優好きには堪らん映画でもある。アフレコ風景がシーンの一部なんて垂涎もの。てか、最初のあのちょびっとのナレに朴さん使うとか正気か?
最後のアニメ2作品の畳み掛けなんて、映像も勿論だけど、声優さんの演技で成立させてもらっている。正直そこまでの流れとアニメの感動が地続きになってなくて、私の中では別物だった。

もっと熱いお仕事ものを期待していたので、少し残念。
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