辻村深月による同名小説の映画化。
地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督が、同クールに制作されたアニメで一番成功した者へ贈られる称号「覇権」を賭け、頂点を目指して仲間と共に奮闘し成長していく姿を描く、お仕事ドラマ。
劇中に登場する2つのアニメは『テルマエ・ロマエ』の谷東監督ら第一線で活躍するスタッフが手掛けており、プロットは原作者の辻村深月さん自ら、各12話ずつ全24話分を仕上げたのだとか。
本編で見られるのは一部のみですが、機会があれば全話観てみたいと思わせるほどのクオリティ。ちなみに私は、ゲーム同様アニメもキャラデザから入るタイプなので、断然『サバク』の方が好みでした。
リアリティを追求すべく、徹底したリサーチが行われたという本作。制作現場とのせめぎ合いやモノ作りの歯痒さなど、業界は違えど同じクリエイター職に就く者として、共感できる部分が多かった。
思わず目頭が熱くなるラストは、1人で観てたら泣いてたに違いないw
登場人物たちのキャラ立ちも素晴らしく、特に瞳と行城・王子と有科の対比的な関係性の描き方も良い。随所に散りばめられたアニメの名台詞群も、ファンにはニヤニヤポイントかと。体感的にはガンダムが多かった気がする(*´艸`*)
アニメは正しく「リアル以外を豊かにする」もの。
今や代表的な日本の一大産業であることを改めて誇らしく感じたし、お仕事ものとしても、ヒロインの成長物語としても楽しめる秀作でした。