ほのか

私だけ聴こえるのほのかのレビュー・感想・評価

私だけ聴こえる(2022年製作の映画)
4.4
映画情報どこで仕入れてんの?って聞かれるのって趣味映画鑑賞あるあるだと思う。そのたびにTwitterかフィルマですかね〜っていうけど、新聞でもわりと情報を知ることがあるなあってことを思い出しました。これも神戸新聞の記事で知った。


かの映画が今年オスカーを獲って、一躍常識単語となった"CODA"。ろう者の親をもつ聴者の子ども。CODAはろう者でも聴者でもなくCODAという種族だ、と彼らはそう認識している、ということを知る濃密な1時間16分。
ろう者と一緒にいても、聴者と一緒にいても疎外感を感じるという。「ろうになりたい」と願ったり、本当の自分で居られる場所がないと涙したり、親のことは愛してるけど聴者の世界で生きていくことを選んだり。CODAだからといってもちろん悩みは一概ではないけれど、CODA同士でしか分かち合えない悩みや苦悩がたしかにある。大人になったらその悩みにもある程度の落とし所が見つけられるのかもしれないけど、多感な上に学校というコミュニティで生活の大半を過ごす子どもにはなかなかどうして難しい。



わたしもすごく自覚があるんやけど、言葉がわからないことを恐れすぎているような感じがする。何を言ってるのかがわからなくて気まずくなってしまうのが目に見えてるから接触を避ける。さらに聴者はろう者を障がい者だと思い過ぎている。CODAはそんなろう者と聴者間にある摩擦を緩和させてくれていた。でもその実、板挟みになる苦悩がそこには在る。じゃあそれを知った先にわたしたち聴者が歩み寄るためにできることは一体何だろうって考えたけど、残念ながらこの映画だけじゃまだ答えはわからなかったなあ。とりあえず知ることが第一歩。二歩目を決して間違わないようにすることがいまは大事かも。