ロアー

スルターンのロアーのレビュー・感想・評価

スルターン(2021年製作の映画)
4.2
ある夜、マフィアのボスの家が襲撃され、妊娠中だった妻が殺害されてしまう。かろうじで助かった赤ん坊は”スルターン”と名付けられ、父であるボスとマフィアの構成員たちの手によって大事に大事に育てられた。
暴力とは無縁の世界で立派に成長したスルターンだったが、父親が急死したことで突然、新しいボスとしての役目を負うこととなってしまう。スルターンは親代わりの構成員たちを守るため、秘密裏に地元警察に非暴力を誓うが、構成員たちも亡きボスの最後の約束を果たすため、スルターンに内緒でとある計画を進めていた。

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#インド大映画祭 鑑賞作品3作目。
先週に引き続き、また2本ハシゴ鑑賞してきました。

今回、全部で4作品観た中でこれが1番面白かった~!去年映画館で観てお気に入りになった「囚人ディリ」と同じくらい面白い!!

簡単に言うと、マフィアがジョブチェンジして農家デビューするお話なんだけど、「ミルチ」みたいに農村で繰り広げられる命がけの抗争が楽しくて楽しくて。このままでは私、田んぼでぎらりと光る牛刀にわくわくする体に変えられてしまいそう・・・

とにかく、この映画のマフィア連中がかわい過ぎてかわい過ぎてたまらない。なんなら最初から最後までマフィア連中のかわいさに悶え続ける3時間でした。だって自分たちで育てて収穫した米に泣いたんやで・・・

ざっくざっくとお仕事で人を殺す傍ら、むさいマフィアのおっちゃんたちがスルターンをデレデレと育てる冒頭のシークエンスからすでに心を掴まれました。大事に大事に育てられた若のアイドルっぷりと言ったら。
帰省するだけでお祭り騒ぎだし、みんな若のことが大好き過ぎて必死でホントかわいい。こんな調子ってことは、勉学のために若が実家を出た時なんてどんだけみんなが嘆き悲しんだのか想像に難くありません。

基本的にこの映画、インドビューティーよりもむちむちのマフィアのおっちゃんたちばっかり踊っていて「♪(俺たちの若なら)シャツを脱いでも戦わなくていいし、頭を二つに割れなくても大丈夫だよ~」って物騒な甘やかし方をしてるんですけど、でもまあ、蝶よ花よと育てられた若が実はめっちゃ強い獅子だったというお決まりの見せ場ももちろんありまして、明らかに頭をかち割れそうな鉄の塊(神具を模してるらしいけど)をぶん回して暴れてお歌のフラグを回収してくるスタイル大好きです。

「クワイエット・プレイス」ばりに、敵ですら絶対に声を上げてはいけないねむねむタイムの戦闘シーンも楽しかったな。こういう無茶な設定のアクションシーンが平然と成り立つインド映画にむしろ嫉妬を覚えます。欧米映画でももっとこういうのやっていいと思う。やれ。

それぞれが結構キャラ立ちしていて若を支える総長の人柄にもじんわりしたけど、個人的にめちゃくちゃ気に入ったのは若のボディガード・ガダでした。体はでかいのに中身は子犬みたいに従順でちょっとおつむ弱くてめちゃくちゃかわいい(ずっとサングラスだし「西洋骨董洋菓子店」の千影みたい)。油断すると玩具のラッパとか吹いてたりするんですけど、この子どんだけかわいいんだ。そんなだから目が離せなくてずっと目で追ってしまったじゃないか。

ラストの仲間の絆もめちゃ熱だったし、おいしいところをさらっていった弁護士おじいちゃんのドヤ顔も最高だったし、これはぜひともDVD化して欲しい映画でした。
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