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シティ・オブ・ジョイ 4Kデジタル・リマスター版のkurageのレビュー・感想・評価

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インド・コルカタが舞台ということで、ずっと観たかった映画。キネカ大森の名画座「パトリック・スウェイジ特集」で上映。しかも『ダーティ・ダンシング』と2本立てで。贅沢。最近、ミニシアターで4Kレストア版など昔の映画を上映してくれるのは嬉しい。

アメリカ・ヒューストンの医師マックスは患者を救えなかった無力感から仕事を辞めてインド・コルカタの街にやってくる。そこで出会ったリキシャワーラー(車引き)のハザリとその一家が住むスラム街コミュニティとの交流を通して、医師としての尊厳を取り戻し、人間としての心の豊かさに気づいていく。インドの都市の中でも聖と俗、汚、清のコントラストが特に激しいコルカタは、魂を揺さぶられる土地だ。

最貧困州といわれるビハール出身のハザリーとアメリカ出身お坊ちゃん医師マックスのようなお互いの立場を超越した友情を育むこともあるのも旅。でも必ずどこかで常識の最低ラインの違いに行き着く(これは日本でもある)。その先を越えるかどうか、そこには個人の精神的な成長と覚悟が付きまとう。男性同士の友情物語として『ショーシャンクの空に』に並ぶ好きな映画になった。

自分の話になってしまうが、コロナ禍前に出た海外旅の玄関口がコルカタだった。30年前の画面の中にもその時の姿をそのまま観ることができたので、いきなり町丸ごとが都市計画で変わってしまうというようなことができない場所なのだろう。
(ITの発展などにより、中流インド人のライフスタイルは随分と変わってきている模様だけど)

何かを探しに旅に出ると、欲しいものではなく別の大切なものをいつの間にか手に入れていたり身につけていたりする事がある。そのことを認めた時点で以前の自分ではいられなくなる。それは結構怖いこと。これが気づきとか変容という類のものなのかもしれない。インドに行くと割とそういう現象が起きやすいというか、そういう話を旅人からも良く聞く。旅人に霊的?なインスピレーションを与える土地のように思う。

歓喜の街、コルカタにまた行きたい。

追記 あの洪水シーンはパラサイトに繋がるものがある。
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