Jun潤

RRRのJun潤のレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.0
2022.11.15

予告を見て気になった作品。
『バーフバリ』と同じ製作陣で、インド映画史上最高の予算をかけた超大作とのことで、作品自体は見ていませんが、予告の作り的に確かに壮大な世界観の大作のよう。
インド映画に足の小指を突っ込んでいる程度ですが、ここからより沈んでいく気概も持ちつつ今回鑑賞です。

英国植民地時代のインド。
森の中で暮らすビームはある日突然妹のマッリを英国軍に攫われてしまう。
一方別の場所では、インド人でありながら英国警察として反乱の意志があるインド人を粛清するラーマという青年がいた。
彼らは数奇な運命に導かれ、やがて親友となるが、ビームがマッリを助けようと暴動を起こしたことで歯車は狂い、2人は武器を手に取り戦うこととなる。
幼い頃より大義のために生きてきたラーマと、妹を救うために生きるビーム、2人の運命の行先とはー。

これがインド映画の本気なのかい!?
ボリウッド映画という独自の世界観を持っていることはなんとなく知ってはいましたがまさかここまでとは。
邦画も過去の栄光やアニメにばかりすがっていないでもっとお金かけてくれないものか、いや予算が全てでないことはわかっているのだけれど。

大迫力のアクションシーンだけでなく、インド映画特有のミュージカルシーン、ラブロマンスに家族愛、男臭い友情など様々な要素を持ちながらとっ散らかることなくまとまっており、キャラクター一人一人に過去やドラマがあって濃密にリンクしているあたりはなんだか『ONE PIECE』を想起させますね。

映像や音楽も、スローモーションを使用したり壮大な音楽が力ずくで観客を盛り上がらせにきていたり、エキストラ大量投入や建物大爆破、アニマトロニクスっぽい動物たちなど、古今東西あらゆる映像技術を駆使していて、映画の満漢全席な感じでしたね。

アクションシーンについても、特に印象に残ったのがラーマとビームの対比で、炎を使った技巧派のラーマと、力任せで水を使うビームとで、画的にもキャラ的にも対極であり二人で一つな感じが出ていました。
また全体的に、ヤンキーもののステゴロアクションでも時代劇の剣戟アクションでもなく、洋画などにもある一手一手決められている殺陣のようでもなく、例えるならプロレスのような、ダイナミックな動きをターン制でぶつけ合うような、見応えも迫力もあってアニメーションチックでもある、本当に豪華な作りだったと思います。

戦争、と言ってしまうと現実の情勢にも響くので、束縛からの解放に必要なのは本当に武器なのか、戦う意志、決して倒れない心ではないのか。
武器を求めて旅立ったはずのラーマがビームに出会うことで当時のインド人に本当に必要なものを見つけ出すドラマ性も見どころの一つ。

特オタ的に今作は、平和のためではなく妹個人のために戦うビームが平成ライダー、親友や自分を犠牲にしてでも大義や大多数の人の平和のために戦うラーマが昭和ライダーのように見えて、それぞれ拳を振りかざしたことに対する罰を受けながらも、時に対立し最終的に共闘するあたり、これこそまさに「仮面ライダー大戦」な感じがしました。
Jun潤

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