DaikiAshiwa

RRRのDaikiAshiwaのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
5.0
最高すぎた。

めちゃくちゃ社会的メッセージの強い時代背景、インド映画特有の勢いが凄すぎるアクション、ここ10年くらいで一気に洗練されてきた映像、全てが相まって3時間があっという間だった。

この映画を評する時、頭からっぽで見られた、という言葉をよく目にするのだが、少なくとも僕にとっては全然そんなことはなかった。

端々から滲み出る帝国主義への嫌悪、エンディングでの露骨なナショナリズムの称揚。いま人口一位になろうとし、経済的にも欧米が意識せざるを得ないプレイヤーと化したインドが、今こそ国民意識を高め世界に打って出るんだというめちゃくちゃ強い自意識を感じた。RRRのタイトルには、蜂起、咆哮、反乱という意味が込められているという。21世紀はアジアの時代だという宣言だと私は受け取った。

しかしながら映画の中身はエンターテイメント性に満ち満ちたものであり、ちょっと笑えてしまうくらい凄い主役二人の存在感、暑苦しい友情、胸が熱くなる歌やダンスなどなど見どころばかり。しかも、アクションもちゃんと騙してくれるのだ。あり得ないんだけど、なんかこの人たちならやっちゃいそう、みたいな、謎の説得力がある。(本当に邦画は見習ってほしい)
そこにインド神話や近代史をわずかに知っておけばもう完璧、全く退屈せずに見られるだろう。

そして、個人的にこの映画がアカデミー賞の舞台で(たとえ歌曲賞だとしても)大々的に取り上げられたことが素晴らしいと思う。近年声高にダイバーシティが叫ばれて、弊害も見え隠れするものの、こういう作品が評価される下地になっているのなら捨てたもんでもないなと思う。
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