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RRRのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

イギリスの植民地時代のインドを舞台とした、実在の人物をモデルとした大作。文句なしに面白い。

インド映画といえば、長尺で壮大で、いきなり歌って踊りだす…というイメージを持っていましたが、今作は思った以上にダンスシーンは少なめで、歌もBGMのように流れる程度なので、インド映画苦手かも…という人も楽しめる作品だと思います。

ちなみに180分の長尺ではあるので、体力がある時の鑑賞をお勧めします。


以下、ネタバレあります。

1920年、イギリス領インド帝国で圧政を敷くインド提督スコットは、ゴーンド族の村を訪れ、芸術的才能を持つ少女アッリをわずかコイン2枚で無理やりデリーへと連れ去ってしまう。

アッリの兄であり村の守護者であるビームは妹を救うために仲間と共にデリーへと向かう。

一方、デリー近郊の警察署では活動家の逮捕に抗議するデモ隊が押し寄せていた。警察官のラーマは単身デモ隊の中に飛び込み、首謀者の1人を捕まえる功績をあげるがイギリス人署長はそれを認めず昇進させることはなかった。

そんな中、イギリス総督府ではアッリ奪還のためにデリーへと侵入してきたビームの対策協議が行われ、ラーマが担当捜査官へと名乗りをあげる。

ラーマが捜査を続けていると列車事故に遭遇し、そこでアクタルという偽名で潜伏していたビームと計らずとも協力し、お互いの正体も知らぬまま親交を深め、やがて親友となるのだった。



最初は妹を助けるためにイギリス総督府に侵入するため試行錯誤するビームが描かれます。
途中で差し込まれるダンスパート「ナートゥ」はさすがインド映画!というほどの圧巻とボリューム感があります。

中盤に差し掛かり、いよいよビームが妹を救出するためラーマと決闘することになりますが、ここに至っても「なぜインド人のラーマがここまでイギリスに忠誠を誓って昇進にこだわっているのか」というのは描かれません。

しかし、後半に入りいよいよラーマの過去が語られるのですが、これがまた壮絶!
今までビームが主人公という立場で話が進んできましたが、ここにきてダブル主人公になる展開が熱すぎる!

こうなってからの2人の無双っぷりはまさにインド映画という感じで、人間を軽く超越したアクションをこれでもかと見せつけてくれます。

最初からではなく、前後半に分けてじっくりと2人のキャラクタを紹介してくれるのは長尺映画ならではのうまい見せ方だと思いました。


全体的に見ても、大小のアクション、適度な笑いに大きな笑いのバランスがよく、長さを感じさせることなく最後まで楽しむことが出来ました。

これといった苦言を呈するところはありません。強いて言うならイギリス側の女性ジェニーとビームの恋愛ドラマ部分の深堀りがあまりにもされてなくて、彼女の立ち位置が絶妙に分かりづらかったことくらいです。

あの結末を迎えたあと、彼女のその後はどうなってしまったのでしょうか?

また、史実を元にしているので最終的には武器をもって相手を制圧するという、一見、戦争をよしとするように感じる人もいるかも…。
それを肯定してしまうくらいにイギリス側が徹底的な悪と描かれているのは賛否両論かもしれませんね。

それでもイギリスにてヒットしているわけですから、今作が多くの人に認められているという証なのでしょう。


あからさまなCG部分も多いですが、それを超越するくらいの見応えはあります。
今いち分かりづらいインド映画の中ではシンプルなストーリーと適度なミュージカルで、ボリウッドの入口としても最適だと思うので、未見の方、インド映画が苦手な方も一度ご覧になることをお勧めします。
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