祝祭!!
あえて映画館には観に行かなかった今作。
何故って?
もう終始、隣の人とあーだこーだ叫びながら観たいじゃないですか。劇場の席に静かに座って無言で観る映画じゃない。
結果、終始「祭」と言わずして何と言おう。
179分という長尺にも関わらず、まだまだ終わらないで欲しい…くらいの満足度だった。
「全編クライマックス」ってよく使われるフレーズだけど、今作ほどの「クライマックス祭」は未だかつて観たことないよ。
個人的に『バーフバリ』超え。
死にたくなった時に観たら、きっと生きられる。
インド映画の定石は踏みつつも、リアリティとフィクションを最高のマリアージュで絡め合わせながら、一瞬も飽きさせない怒涛の展開。
凄すぎて笑っちゃうくらいのアクションとカメラワークが、次から次へ…これ以上はもう無いだろうと思えば、またすぐ超えてくる衝撃。
もう、クライマックスしか無い。
たまに違和感に突っ込もうとしたら、すぐに画面が応えてくる痛快さも巧妙。ずっと掌の上で踊らされていた。
もう、脱帽するしか無い。
1920年の英国植民地化のインド、という設定が色んな所に効いてくるプロットも素晴らしかった。『バーフバリ』は、どうしても歴史的ファンタジー感が強めだったから、今作の醸し出す、エンターテインメントの裏に潜む血なまぐさいリアルが、余計に胸に響く。
「白人の扱いが可哀想…」みたいなレビュー書いてる人を見たけれど、いやいや、この当時の大英帝国の実態と現代にも続いている歴史を見なよ、と思ってしまう。
今作で描かれている内容は、むしろエンタメ作品として収める為にかなりマイルドな描写だし、インド映画としてそうした過去の諸々を想いながらも、ここまでエンターテインメントに仕上げるボリウッドの懐の深さに、むしろ感動してしまった(第一次大戦のインド兵の扱いとか、もうね…)
インドで訪れた幾つかの地名が出てきたり、そこで聞いた話なども含め、いかに今のインドがインドとして存在しているか、そんなことを考えさせられた。
そんな下地があるから、ラーマとビーム、それぞれの想いが切なすぎ、友情の契りを交わした二人が引き裂かれ、また絆を結ぶ展開は胸熱以上の何モノでもない。
とか、小難しいことは置いておいて、そんな下地は関係なく、今作は誰でも楽しめるエンターテインメント。
唱え!踊れ!闘え!の連続で、長尺だからこそ、様々な伏線を散りばめ全て回収して、ラストに全て昇華してくれる。何というカタルシス。これぞボリウッド。
『スラムドッグ$ミリオネア』でダニー・ボイル版ボリウッドに魅力され、『バーフバリ』で新たなボリウッドエンタメに魅了され、その先に今作があった。
是非「ありえねー!」とか「待ってたー!」とか「そんな…」とか「しゃあぁーー!」とか、叫べる環境で全身を解き放して観て欲しい作品。
死にたくなった時に観たら、きっと生きられる。
こんなに苛烈に、死をも恐れず、生きることだって出来る。そんなスーパーに生きられなくとも、誰かを少しだけでも、ほんの僅かでも、助ける為に生きることは出来る。寄り添うことは出来る。そして、そんな人々を、こうして描くことも出来る。
良き作品でした。