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RRRのvanのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

劇場通算4回目。IMAX GTにて視聴。
この化物映画に今更何を語れば良いのか。


まず、冒頭から面白いんです!
マッリが買われてお母さんが車にすがります。
手下が銃を構え、母の頭につきつけますね。
そこで提督が止めろと一喝します。
お、なんだ。話が分かるじゃん。
そう思ったのもつかの間。

「一発の銃弾はインド人の命より尊い」

いやー開始早々、嬉しくなってしまいました!
想定を軽々超えてくるクズっぷりの悪役表現!
この作品は信頼が置ける!
初見でそう感じました。

その後「R」の表示が展開されますね。
えっ、この規模のイントロダクションがあと二つあるのか! 想定をことごとく上回ってくる、インド映画のスケールってヤベーな!
冒頭で期待のハードルが、グングン上がったのを記憶しています。

この作品の恐ろしい所。
次パートの盛り上がりは、上がったハードルを必ず超えています!
ここから段階的に飛躍的に、面白さが過熱します。次がどんどん面白くなるから、最後まで気持ちが乗って観れるんでしょうね。
場面や状況にマッチしたアイデアを、より洗練させる。
口では簡単に言えますが、相当な難易度だと思います。


加速のついた気持ちを鈍らせない、脚本も良かったです!
中盤以降、ビームとラーマが譲れぬ想いのためぶつかり合います。どちらが強くも弱くもなく、同じパワーバランスでぶつかり合います。
そこがまた良いんだ。

対等の友情。
対等の使命。

一時的に決着は付くものの、その展開が次のドラマの呼び水になります。
また次の展開がドラマを呼んで、物語は加速していきます。

火と水の属性を付けたのも良かった。
テーマカラーがあることで画面が映える。
相反する力と力という表現も、視覚的にわかりやすい。
キャラに即した演出が特に光るんですね!

終盤の森の中のバトル。
スローモーションで演出される、二人のクライマックスシーン!
IMAXGTで表現される超高解像度映像で、毎回心臓止まってます!


この作品、CG/VFXも凄いです。
モデリングの精巧さ、解像度の高さ。
それは確かに凄いと思います。
でも一番唸ってしまうのは、現実との滑らかさ。
とても精巧なCGが、ナチュラルにスムーズに、現実のフィールドや役者と接地している事です。
序盤のビームと虎の戦いや、中盤の提督宮殿での動物と役者たちのフィット感と絡みなど、毎回凄いと思って楽しみにしている部分です。
ここがおざなりだと、一発で興が醒める重要ポイントです。
興奮は熱狂を生み、醒めぬ盛り上がりを見せる肝点です!


アクションのアイデアも豊富!
発想の手数もさることながら、実に絵になる場面の連続です!
前述のキャラに即した演出もそうです。
一連のアクションにスローが入って、画が決まる!
これは、ページをめくり次の大ゴマで決め画が入る。
慣れ親しんだ、漫画の構文とよく似ていると思います。

例えば『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が連続したアクション中心の臨場感で盛り上げているのに対し、決め画を含めた視覚的演出で盛り上がりを作っている様に感じました。

終盤の森の中の戦いでは、ラーマが覚醒します。
弓矢を放ちながら敵を捌く。
この捌き方が『ジョン・ウィック』味があると今回感じました。
敵を掴んで体捌き。
締めてからの射撃。
この一連の動作がスムーズで痛快で、気持ちいいんですね!
燃え盛る炎、爆発する手榴弾など、見所満載のパートです!


「一発の銃弾はインド人の命より尊い」
冒頭で吐いた自らの言葉に、提督は仕返しされます。
ラーマは動けなくなった提督に向けて放ちます。
「ビーム、心臓に返してやれ」
銃弾を込め、引き金を引くビーム。

全ての因縁が解放され目的を達成します。
やがてそれぞれの故郷へと、帰還するのでした。

いやー面白い!
いつ観ても最高に燃え上がる、珠玉のエンターティメント作品です!



ここまで良点を上げました。
実は致命的な弱点があります。
それは上映時間の長さです。


……あと3時間は欲しい!(笑)
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