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ドライビング・バニーのMasterYuのレビュー・感想・評価

ドライビング・バニー(2021年製作の映画)
3.1
妹とその再婚相手の家に居候している身のバニーは、ある事情で息子と娘を里親に預けているが、子供たちを引き取るために新居を探すものの、信号待ちの車の窓拭きで得られる小銭では家は借りられず、家庭支援局立会のもと行われる面会で子供たちと会うしかない。
ある日、妹の再婚相手ビーバンが姪のトーニャに言い寄るところを目撃して怒ったバニーは、ビーバンを攻撃して家を追い出されてしまう。
それを切っ掛けにバニーは、子供たちを奪還するためになりふり構わぬ行動に出てしまうのだった・・・。

この作品を理解するには、ニュージーランドの住宅事情であったり、或いはニュージーランドにおける若者の高い自殺率、貧困問題を知っていなければ駄目らしい。

とにかく住宅価格が高騰していて、バニーのように子供を引き取るために、しっかりとした家を借りなければならないが貧困で苦しむ人には、まったくのムリゲーらしい。
またバニーが服役していたことも仕事に就けない理由であると考えられるわけで、彼女の置かれた状況はとても厳しい。
その犯罪の理由は作品を観てもらえば分かりますが、住宅や貧困などニュージーランドにおける問題を知っておくと、彼女の取る行動原理をある程度は理解できるので、作品に対する印象が違ってくるのでしょう。
そこを分かっていないと、同情はするけどその行動はないだろう?と思ってしまうでしょうから、評価は低くなるかもしれませんね。

私の場合は、トーマシン・マッケンジー目当てだったので、ティーザーやフライヤーの印象から、彼女と叔母のロードムービーを期待していたんですけど、まったくそんな感じではなかったことによるガッカリ感はあったものの、ルール無用の行動を取ったストーリーの締め括りが気になる構成だったので、それなりに堪能。
ベースはとても重い問題を扱ってはいますが、重くなりすぎないような切り口で描いていたのがよかったのではないかと思います。
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