からかす

百花のからかすのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.5
認知症で記憶を失っていく母親と忘れられていく息子。
私自身は年齢的にもどちらかといえば息子側に近いし
祖母も認知症でひどい状態になったのもあるので
菅田将暉の演技がとにかく素晴らしく感じた。
愛してはいるけど普段はぞんざいな感じ、
認知症になってからも愛してるけど同時に面倒臭い、
そして忘れられていく辛さと悲しみを見事に表現。
感情移入しまくりで刺さりまくり。

認知症で記憶と現実が混濁していく恐怖を
意欲的なロングショットで描写しているのも効果的。
静かな映画ながら見応えのある映像で
これも素晴らしいと思った部分。

ただ映画自体の帰着点は正直好みではない。
特に中盤の母親のメロドラマ部分が長すぎ。
人間誰しも完璧ではないし親であっても同じ。
だからといって忘れたから全て許されるってのは
ちょっと免罪符として都合が良すぎやしないか。
悪い記憶は忘れ、綺麗な記憶だけを残すことこそ
人間らしさ・美徳であるように描かれていたけど
捻くれた心の自分ではそうはならんだろと思うばかり。
てめーが乳繰り合ってた時間放置されてた子供を思うと
それを忘れたから許したとはならんわ。

だからこのメロドラマ部分をギュッと圧縮したら
多分満点上げるくらい刺さる映画ではあった。
からかす

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