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百花のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.7
菅田将暉の演技に感服。 
ワンシーンをじっくり尺をとって人物を写す分、下手な演技だと冗長さ退屈さを感じてしまう。その点本作では菅田将暉の細かな表情や動きの変化が雄弁に複雑な感情を伝えてくれる。
(母親役の原田美枝子さんは言わずもがな素晴らしいんですけど過去パートはメイクで年齢の差異をつけるより、他の女優さんが演じた方が良かったのではないかと考える。)

母子の関係で、何か当人同士にしか知り得ないわだかまりを抱える人には、深く心に刺さる作品だと思う。
目を反らしてきた母親の秘密に触れる、背徳感。同時に自分自身の心の鍵穴をこじ開ける作業でもあり。

痴呆が進行し記憶を次々に失っていく母親と、人工的に記憶をインプットさせ成長させていくAIシンガーを対比させるモチーフを、
小技を巧いととるか浅薄でとってつけた感のあるモチーフと取るか。んー。

それにしても、ここまで派手な展開のない、地味で実直な作品を東宝の大規模作品でよく作ったもんだなぁという嬉しい驚き。







…良い作品だったと思うけど、
『ファーザー』『ロスト・ドーター』の両傑作を知ってしまっているので、傑作!とは言えないけど次回以降も観ていきたいです。
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