マサミチ

百花のマサミチのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
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序盤から薄暗く見えづらい画面に不必要にも思える手持ちキャメラの長回し、そして散漫に映るストーリー構成…これは恐らくなんだが、認知症の人の不安定な主観を映画で再現しようと試みたのではないだろうか?

観客をある程度惑わしておいてから、後半の息子の菅田将暉が母の部屋から秘密の手帳を見つける下りに持ってゆき、回想場面の流れを経て、半分の花火で泣かせる狙いだったのだとは思う…それが成功したとは認めるつもりはないが。

この作品、残念だったのは同じ認知症老人を描いた【ファーザー】が先に作られて評価されてる事で、あれは認知症の人間の目線から見える世界を一種のサスペンスとして上手く機能させることに成功していた。

恐らく似た事をやろうとしたのではないか?ただし、この映画では単に観客を構成において混乱させているだけで、通常の脚本構成ではもっと序盤に出しておくべき半分の花火とゆう母と息子の共通の思い出を後半に唐突に持ってくるので、それを見せられてもイマイチ感動を覚えるところまで引っ張られない。

長澤まさみの嫁が妊娠している設定は、生と死、原田美枝子演じる母の死と命の誕生をラストに見せるための布石と思っていたのだが、あまり意味あるとは思えないね。菅田将暉が親になって母の気持ちを理解するとゆう意味だとは思うが、もう少しそれを観客に分かるように親切に描写してほしいよね。
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