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百花のmanamiのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
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同級生の監督デビュー作ときたら観るっきゃないでしょ、と鑑賞。原作・脚本も務めているとのこと。
分かるよ、そういう年齢だよね。先日、幼馴染たちと数年ぶりに会えた時まさに出たもの、親の健康やら介護やら同居やらの話題。(ただし川村元気監督は祖母との実体験から着想を得たのだと、どこかで読んだ記憶あり)
まずは、親子の過去と現在の隙間に入れ込んでくる様々なエピソードについて。黄色い服、一輪挿し、空き巣、不倫中の旧友、日記、釣り堀、ウサギとライオン、近所の公園、誕生日、主人公が携わっている謎アーティストプロジェクト、などなど。どれもこれもみんな薄味。
思わせぶりなのに結局よく分からないままだったり、まあなんとなく象徴したいことは伝わってきたり、いろいろなんだけど。ひっくるめてリアクションするのであれば、「だから何?」その一言しかない。ずっともどかしさが溜まっていく。
長澤まさみ演じる妻や、妊娠・出産関連ももっと絡めてくるのかと思いきや、ほぼスルーだし。震災の扱いがヒクほど雑だし。花火がどうのこうのも、伏線が出てきてないのに急にネタバレされても、心が全然動かされないのよ。
そしてワンシーン=ワンカットなので長回しが続いてて、しかもその中で役者さんのアップが多いから、押し付けがましく感じてしまう。行間とか余韻、余白のようなものがあればまた違うんだろうけど、それもなくて、ただただ冗長。
あと、現実的な問題の数々も非常に引っかかる。小学生の子どもと二人暮らしのシンママがあの家で?個人のピアノ教室ってそんなに儲かるの?1年もほったらかすって、完全に虐待事件だし児相案件だし、戻って来てまた一緒に暮らせるものかな?
最後にもうひとつ。原田美枝子が40代から70代ぐらいまでかな、それはまだなんとか消化できるけど、菅田将暉に38歳の役はさすがに無理があるよ。
良かった点も挙げます。役者さん達の演技、それに尽きる。素晴らしい演技力に救われてる。

56
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