ゆ

百花のゆのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.7
周りも本人も忘れてしまっても、確かにその人が生きてきた軌跡があって。その軌跡がよみがえるような綻びが台詞の節々にちりばめられていて。

見返せば見返すほどそれぞれの立場に立って感じることができるんだろう。

でも、それでもいずみくんの淋しさは消えないし忘れられなくて、大人になっても枷となっていて。大人になったからこそ、ありふれた疑問しかなくて悔しくて葛藤する。
けれども親っていうのは後悔していないけど許して欲しいと思うだなんて、なんてずるいんだろう。

許せなかったかもしれないけど折り合いをつけるようにして、消化しようとしたいずみくんはずっと強くてえらい。見捨てなかったいずみくんは強くてえらい。

認知症の世界の表現がリアルで、ある意味主観で奇妙で良い。
ゆ