Jun潤

向田理髪店のJun潤のレビュー・感想・評価

向田理髪店(2022年製作の映画)
3.4
2022.10.18

高橋克実主演作品。
日本を代表する名バイプレイヤーの一人・高橋さんの初主演作品。
坊主の高橋さんが理髪店の店主という点ですでに面白いのですが、一風変わった家族の模様を描いていそうな感じがしたので今回鑑賞です。

九州のとある田舎町・筑沢にある小さな理髪店「向田理髪店」。
ある日突然、東京で働いていたはずの息子・和昌が帰郷する。
父の店を継ぎ、育った町を盛り上げたいと意気込む和昌を、父は心配など様々な感情入り混じる目で見守っていた。
少子高齢化と過疎化が進んでいく筑沢では、ずっと独り身だった青年の国際結婚や、中学時代のマドンナの娘が新しく始めたスナック、それまで常連だったスナックのママの息子が全国指名手配されたり、筑沢が映画のロケ地になるなど、変わらない日常の中で起きる事件に胸を躍らせていた。

これはもう田舎育ちからするとだいぶノスタルジーを感じるし、田舎に住むおじさん達の寂しくも楽しい日常を描いていて、将来への楽しみと不安の両方を感じることができる不思議な作品でした。
あと白洲迅くんかっこいい。

「向田理髪店」を中心に、筑沢の街の人々の面白おかしくも儚さを孕んだ様々な表情と、町そのものが放つ寂しさと、絶え間なく何かが巻き起こる小さな“世界”の出来事。

今作はもう主演の高橋克実はじめ板尾創路、近藤芳正らおじさんトリオの情けなくも愛くるしい、価値観が昭和チックだけどどこか破滅的で、令和にも通じる家族愛の暖かさを感じました。

物語の区切りで筑沢の情緒的な景色が挿入されていましたが、尺的にもちょうどよく、観光PR過ぎず、あくまで人が住む街を主演に据えた作品であることを強調できる、いいアクセントになっていたと思います。
Jun潤

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