過ぎゆく時間の中で訪れる取り返しのつかない後悔をドSなのかドMなのか分からない痛み(快感?)にのせて映画を届けてくれるギャスパーノエ。
そんな彼のフィルムグラフィーの中でLOVE3Dという作品は(取り返しのつかない後悔を描いた作品という意味で)集大成であったと思う。
その後に撮られた数本の作品の薄っぺらさをみても、やはりやり尽くした感を感じずにはいられなかったし、スタイルだけ残したセルフコピーのようだったとも思う。
で、今回。
時計の針を逆回しに進めて、その後悔の念をこれでもかと観客に疑似体験させてた彼が、その手を一度止め、時計の針を通常通りに回しはじめる事で観客に「老い」や「死」という進みゆく時間の中で避けようもない絶対的な恐怖を疑似体験させてきた。
もしかしたらギャスパーノエの作品を観てない人にとっては地味、退屈、そういった風に感じたりもするのかもしれないが、時計の針を逆回転させてきた彼が、その針を再び逆に(通常)進めながら、過去への後悔から未来への恐怖へと表現を変えたのが非常に興味深い。
あと2画面での1:1という画面比率が持つドキュメント感。それはタイトな画で登場人物にフォーカスするという意味でも、時間経過をリアル体験させるという意味でもハマっており、面白い。
最後と息子が自分の中でピンとこないので-0.7。