歌代

ロスバンドの歌代のレビュー・感想・評価

ロスバンド(2018年製作の映画)
3.8
問題を抱えた子供たちの、バンドワゴンロードムービー。

口喧嘩ばかりの両親にうんざりする少年・グリムは幼い頃からロック大会で優勝することを夢見てる。
ギターは上手だが歌は音痴…というのを自分では気づかず、好きな女の子を振り向かせるためにロック大会を目指すアクセルと2人でバンドを組んでおり、送ったデモテープが決勝に通過。
しかし、デモテープはグリムが独断で歌の音程補正をしていてアクセルはそれに気づいていない。
ベースオーディションをしたところ現れたチェロ弾きのティルダはいつも家に両親がいない9歳の女の子。
バンドといえば車移動だ!とドライバーを頼んだマッティンは親に夢を託されて自分の道を進めないことに悩む少年。
4人でバンドワゴン(マッティンが兄から盗んだ)に乗り込み、かくしていびつなハートの少年少女の長い旅が始まるのだった…。

バンドとは、音楽的にも不完全だと思います。
他人同士が協力しあって物を作って100%思い通りにいくことなんて滅多にない。
音楽的にも、集団的にも不完全。
だけど、その不完全さこそが完璧なんだと僕は思っています。
この映画はそういった"バンド"という形態とすごくマッチしていた!

音痴なボーカル、親子関係、友人関係、思い通りにいかない4人が旅を共にしていき得られるものとは何なのか。これは容易に言葉にできない。
そういうものを描いた映画だと受け取りました。

ラスト、何か結果が得られてハッピー…というお話ではない。
変化の予感、始まりの予感が得るところで終わるのが本当に素晴らしかったです。

優しい映画だったなあ。

あとチェロ弾きのティルダ、ドライバーのマッティン役の俳優がすごくいい!愛嬌抜群でした。
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