ドラムを演奏するグリムと友人でギターとボーカルを務めるアクセル。ノルウェーでのロック大会の出場権を獲得したものの、ベースもいないし交通手段も無い。近所に住むマッティンをドライバーとして、ベースに9歳のチェロ奏者ティルダが加入。会場のノルウェー北部にあるトロムソへ向かうロードムービー。
これは大当たりの作品に巡り会えました。音楽サクセスものでロードムービー。しかも舞台は北欧ノルウェー。これは当たりは約束されたようなもの。
個性豊かな4人。両親が不仲のグリム、ギターは上手いが歌が下手なアクセル、父親との考えの違いで確執を抱えているマッティン、学校で嫌がらせを受けて自宅でも孤独で居場所が無いティルダ。メンバーそれぞれでも何かしらの悩みや問題があるものの、終盤でバンドを通じてその問題と向き合って解決していく様子も感動的。
道中で車が故障して結婚式に間に合わない花嫁を式場まで送り届けて、式で演奏させてもらったり、ティルダに行方不明届が出されていて、引き取られた警察署にメンバーで彼女を脱出させようとしたり、挙句の果てにパトカーとカーチェイスまで。ロードムービーらしく色んなイベントが用意されています。
そしてラストは会場での演奏。直前でトラブるものの、最後は皆笑顔で大団円。完璧なハッピーエンドで締め括るので、素直に「良い映画を見た!」と思えましたね。
本作での注目はティルダ。メンバーで一際小さい9歳ながらも考えがしっかりしていて、メンバーにとっても救いになる存在。チェロの腕前も抜群で可愛らしい。ライブ本番でトラブルに見舞われた時でもチェロのソロパートを即興でやり、上手いこと時間稼ぎをする対応力。彼女がMVPでしょう。
1時間半の短さも良いし、ノルウェーの自然豊かな中のドライブも秀逸。北欧映画の良さを存分に生かした内容に仕上がっています。これは本当にお勧め!