映画レビュー用1

アンブッシュの映画レビュー用1のレビュー・感想・評価

アンブッシュ(2021年製作の映画)
2.5
ミリタリーオタクが見るような映画
しかし映像としての価値は無に等しい
前時代的な映像表現、まとまりのない描写、
勇敢と徒労をはき違えた失敗の描写、
その全てが悲しく虚しく退屈だった

この映画は竹崎季長の元寇襲来絵詞の現代版であり
その価値はUAEの犠牲と勇敢さを描くことにある
しかしそれは我々の胸を打つものでは決してない
元寇襲来絵詞は幕府に向けた褒章の要求であるが、
これは誰に向けたものであるだろうか…

何故このような大きな犠牲を払ったか、
それは戦力の逐次投入と拙い戦いぶりにある
はっきり言って共感するところはなかった
戦場で携帯電話を触る危険すら彼らは知らない
こういう状況で武装勢力が増長したが自業自得だ

我々は勇敢である、と叫ぶことに何の意味がある?
この映画では何度も兵士たちの奮闘を勇ましく描く
しかしそのどれもが米兵ならよくやるものだ
彼らは勇敢な戦士になりたかったのか?

テーマもあってないようなものだ
序盤に描かれた対立軸も特に機能していないが、
全般的に人間関係の描写は本筋に関係ない
宗教的なテーマもなく生死の狭間の残酷さもない
あるのはオタクが延々語りだすような逸話の数々…
拙いと言わざるを得なかった

アンチパターンの連続だがそれでも鑑賞を勧めない
唯一あるとすればアリという男の勇敢さの裏にある
愚かさとその報いである
彼の精神は目まぐるしく回転するドリルであり、
彼の言動は前後で決して噛み合うものではない
彼と同僚たちの間にはキルゾーンがあり、
彼だけが愚かにもそこを踏み越えたのである
彼の肛門がもう一つ増えなかったのは残念だった