MasaichiYaguchi

劇場版ラジエーションハウスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.9
原作・横幕智裕さん、漫画・モリタイシさんの同名コミックを窪田正孝さん主演で実写化したテレビドラマの劇場版はスケールアップした内容で、“チームラジハ”に一難去ってまた一難が降り掛かり、様々な「壁」が立ちはだかる様を描いていく。
甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織は、大好きな甘春杏がワシントン医大へ留学することになり落ち込んでいた。
そんな唯織をラジエーションハウスの面々が元気づけようとする中、唯織に対し秘めた思いを抱える広瀬裕乃だけは、自身の進むべき道について悩んでいる。
そんな折、離島で小さな診療所を営む杏の父・正一が危篤との連絡が入り、杏は父のもとへ駆けつけるが、ほどなくして正一は息を引き取ってしまう。
父が気にかけていた患者のことが気になった杏は島に1日残ることにするが、そこへ大型台風と土砂崩れ、さらに未知の感染症が襲い掛かることになる。
杏が島で孤軍奮闘していることを知った唯織は、或ることを決意するのだが…
本作には「壁」以外に「72時間」というキーワードが度々登場する。
この「72時間」は、医学的に人の生死を分ける時間として使われているが、本作にはもう一つの意味があり、それがラストの方で感動的に展開する。
“病の写真家”集団である“チームラジハ”は、常に「生死」と対峙するので、時に「大切な人が助からない」ということにも向き合わなければならない。
だからこそ、映画の冒頭の方で杏の父が残した「病気ではなく、人を見る医者になりなさい」という言葉が、作品を通して心に残ります。