まや

屋根裏のラジャーのまやのネタバレレビュー・内容・結末

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

事前に監督とプロデューサーさんのお話を聞く機会があり、そのお話しを聞いて絶対観たいと思っていた作品。アニメーション作品だからかお子さんを連れられたご家族連れが多かった。

まず、冒頭から画面の美しさから涙止まらなくなってしまった。すごく引き込まれた。

作品の芯にある「想像力」

子供の時は常識とかしがらみとかがないから自分で自由に想像できていたな、となぜかその混ざりっ気のない純粋さに当てられてずっと泣いていた。いつから、その想像力は無くなって嫌な現実ばかり見て、何もできない、変化が怖くて、全てを諦めて、ただ生きているだけになってしまったんだろうと思わされた。

主人公たちが一生懸命に想像力を働かせながら生きている様にただただ感動した。イマジナリーフレンドの発生についても納得だし、後半は大人である母親にも重点が置かれていくのが良かった。辛い時や辛い現実を癒してくれるのは物語だし、その物語を受け取った時の自分自身の想像力だよなと強く思わされた。

イマジナリーフレンドの世界として描かれる図書館のシーンと、最終決戦の想像された世界観がとても美しかった。冷蔵庫のシーンも涙やばかった。

ただ、敵となる存在の背景とかが正直わからなくて、一瞬映し出される少女との関係、彼がイマジナリーを食べないといけない理由、イマジナリーの世界と現実世界のルール設定をどこまで追えばいいのかと、わからない部分が多いとは思った。なんとなく、この敵の存在は想像力を失ってしまい、自分の力だけでは生きづらい存在で、それによる負の感情の具現化が少女なのかと思った(だから飲み込んで負の感情に押しつぶされて消えるのかなと)それから魔法的な意味もあるのかなと。(写真で老けるから)

ただ、あれこれその難しい設定の部分を追うというよりも生きていくことで想像力の大切さを強く強く感じさせてくれて、心が死んでいる時に見るべきだし、何が大切かを思い出させてくれる作品だった。とにかく泣きすぎて疲れてしまったが、心の潤いになった。
まや

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