O次郎

ウルトラマントリガー エピソードZのO次郎のレビュー・感想・評価

3.9
16年ぶりのTVシリーズのウルトラマンとして制作され、チャレンジングなキャスティングと個性の立ったキャラクター、意欲的且つ挑戦的なエピソードの数々でその名をシリーズ氏に刻んだ『ウルトラマンティガ』の後継作として、TV放映中から相当の非難の声を浴びた『ウルトラマントリガー』の完結編。
結論から言うと、TVシリーズでの不満点を払拭するほどの会心の出来とまでは言わないものの、一時間余りの中尺に必要十分な物語の起伏とアクションが盛り込まれており、ウルトラ映画としての完成度は決して悪くない。

まずもって特撮ファンとしては、『仮面ライダー電王』でお馴染みの中村優一さんの出演が見どころであろうか。
若き新隊長としての姿がなんとも凛々しく、ビジュアルの”保ってる”感が見ていて惚れ惚れする限り。

また、戦闘は当然といえば当然だが、TVより予算があるだけあって怪獣の造形のみならず、怪獣プロレスの躍動感もよりダイナミックになって流石の劇場スケールといったところ。
画にも緊張感が漲っていて、特にトリガーの不在の中で生身で怪獣に立ち向かう隊員達の姿は、TVシリーズから通して観ていた身としては実に頼もしく映り、ゼットンですら倒してくれそうであった。
ストーリー展開は割愛するが、本来のターゲット層にしっかり伝わるような話運びは今日、ライダーやスーパー戦隊の物語展開がハード基調な中にあってなかなかに尊いのではなかろうか。

劇場で観たのが土曜の昼間だったのだが、ちびっこ達と彼らにせがまれた親御さん、という制作側の目論見に沿った客層がメインで何より。
ただ、物語を盛り上げるためのトリガーが登場するまでの序盤の”溜め”のシークエンスで、「ね~、トリガーまだ出てこないの~?」という声が聞こえてきたのはなんとも制作側の苦労を感じさせるところ。
自分も幼少期に連れて行ってもらったゴジラ映画で同じような感じだったかなぁ。
O次郎

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