ムテモン

プシュパ 覚醒のムテモンのネタバレレビュー・内容・結末

プシュパ 覚醒(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

名士の非嫡出子として生まれ、疎まれながら母と2人で暮らす無一文の青年プシュパが、地元にのみ自生する木「紅木」の密輸組織で成り上がる話。
前後編の前編で、今作はプロットでいうところの第二幕、プシュパが密輸組織内の既得権益を蹴散らして頂点に君臨するまでが描かれている。
プシュパは自らの境遇にコンプレックスがあるせいか卑怯な手を用いてでも執拗に我を通そうとする人物で、インド映画の主人公としては珍しい。そんなキャラクター造形なのに、翻って想いを寄せる女性に対する態度だけは奥手奥手で可愛らしかった。ただしこの2つは、反英雄的であるという点において共通するのかもしれない。
インド映画の主人公要素(カリスマ性、強さ、天啓、目的遂行への意志)は持ち合わせつつも、プシュパは「神に選ばれし者」あるいは「神の依代」「善なるもの」として描かれることはなく、飄々とした態度の裏に人間的な葛藤を抱えている。
クライマックスの独白で「俺自身に流れる血がブランドだ(意訳)」と言わせたのは、神不在の映画であることのあらわれなのかもしれない。だからパート2を観るのが怖い。もうプシュパに感情移入しまくりなので、堕ちていく展開だったら辛くなってしまう。
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