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生れてはみたけれどのtychのレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
3.8
1932年 小津安二郎監督作品 モノクロサイレント 90分。吉井家は郊外に引っ越してきた。小さな兄弟(菅原秀雄、突貫小僧)は、悪ガキたちと喧嘩したり、学校をさぼったりで、厳格な父(斎藤達雄)に戒められる。ある日、金持ちの友人の家で活動写真の上映会がある。兄弟は、その活動の中に「上司の機嫌をとるべくおどけたりもする父の姿」を見ていたたまれなくなるのだ「もっと偉いと思っていたのに」。ふてくされて寝てしまった兄弟に父が「俺みたいになるな」と語りかけるシーンは沁みる。昔から「サラリーマンの悲哀」は同じなのだ。優しい視点でユーモアに満ちた良品。この頃の子供たちは逞しく見える。
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