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生れてはみたけれどのkaoruiのレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
5.0
敬愛するカウリスマキが愛する作品で、僕も大好き!
サイレント時代の最高傑作だと思う。小津の子供達が躍動する。
頭に下駄や弁当を乗せ、ポケットに手を突っ込み、謎のポーズで悪態をつき、謎の呪文ゲームでボスを決める。運動と反復。小津作品の基調となるものが既に完成している。

一番笑ったのは映像の中の斎藤達雄演じる父親の変顔で、息子たちの中の威厳のある父親像がガラガラ崩れ落ちるのだが、僕は大好きになった。
家に帰りピョンと立った髪の毛で子供達を叱るのだが、真面目に怒れば怒るほど笑えるではないか。
その後夫婦で叱られて不貞寝した子供たちの寝顔を覗くシーンは家族の情愛が沁みて泣いてしまった。
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