南森まち

サバカン SABAKANの南森まちのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
5.0
1986年長崎。家が貧しい事をからかわれている同級生の竹本くん。彼が「ぼく」にある秘密を打ち明け、二人は冒険に出る…というお話。

「映画で泣いたことなんてない」が私のプライド(?)だったが、本作は少しあぶなかった!🥲
上映中に、右隣の若い女性と、左隣の白髪のオジサンがすすり泣いていて、そうだよな〜…となりました。良い作品だ。

少年たちは同級生の家を見に行って、自分の家庭との差に気づく。はやしたてる残酷なコドモと、事情を察して気づかう子ども。
都会はどうだか知らないが、田舎の子ども達は誰しも経験した出来事だ。
少年少女は互いの置かれている立場の差を通じて、社会の本当の姿を知っていく。

そして、そんな立場の差をモノともせずに育まれた友情も、些細なことで崩れてしまう。
また、ほのかな恋とその終わり。
そして訪れる親友との別れ…。
そんな、大人への階段を上がっていく過程を、ひとつの物語として見事に描いていた。

似たテーマの『mid90s』と時期が近くなった。しかし、80年代中期を舞台にした『スタンド・バイ・ミー』型の物語として、こちらの方が良くできている。
例えば、「友だち」を1対1の関係にしたことも、映画のテーマを明確にしていた。
少なくとも日本に住む人々には、本作は非常に共感しやすくできている。
王道のお話だが、それが非常に高いレベルでまとまっていた。

また、九州の言葉を巧みに使いこなす実力派俳優陣たちも奮闘していた。漫才のやり取りのような、両親と主人公と弟の会話も楽しく、脚本も素晴らしい。

演者の中でも主演の子役二人はとても輝いていた。
彼らが全力で走る後ろ姿はいつもかろやかで、二人の一生忘れられないであろう日々を、リアリティあふれるものにしてくれた。
超オススメです!ぜひ見てください!!😉

パンフレット販売は8/28まで。しかも一部のスシロー店舗でしか売っていません。
気になる方は8/28にぜひ見に行ってください!
私は見終わってすぐに隣の市のスシローまで旅行してきました。手に入って良かった〜😭