もこもも

サバカン SABAKANのもこもものレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.3
1986年の長崎を舞台に久ちゃんと竹ちゃんの忘れられないひと夏の思い出と愛が溢れる家族を描いた作品

心の底から大好き
懐かしさと感動で胸がいっぱい
竹ちゃんと久ちゃんの友情にも、
それぞれの家族の大きな愛にも、
胸がじんと熱くなった
「ヤンキーが言うなら間違いない」とか
クスッと笑えるシーンも多くて楽しい
時代性も温かい作品の雰囲気も、
素朴で繊細でリアルな役者の演技も、
どれも胸を震わせて温もりと余韻が残る

あの時代、あの季節、あの場所
忘れられない思い出ってあるよね
少年時代のワクワクとかドキドキとか
友情の形とか家族のやり取りとか心情描写が
とっても自然に描かれているからこそ
自分の思い出も蘇ってより胸に響いた

ブーメラン島の冒険から帰ってきて
2人が別れるシーンがめっちゃ好き
竹ちゃんから久ちゃんと呼んで、
久ちゃんから竹ちゃんって言われた時の
竹ちゃんの嬉しそうな顔が堪らない
その後の「またね」、「またね」も大好き
竹ちゃんとなら何でも出来る気がするっていう
久ちゃんの気持ちもめっちゃ共感できて、
自分も親友と一緒なら何でも出来る、
どこでも行ける気がしてことを思い出した
最初は威圧感を感じて怖がっていたけど、
次第にそれが不器用な優しさであることを
久ちゃんも分かっていたんやろうなぁ

竹ちゃんが自分のことを友達と思っているか
自信がないことを久ちゃんが知るシーン
竹ちゃんの気持ちも久ちゃんの気持ちも
ほんまにめちゃめちゃ理解できた
友達がいなかった竹ちゃんからしたら、
久ちゃんを本当に友達やと思っているからこそ、
久ちゃんが自分のことを大切に思っているか
確認出来ないし不安に思うよね
久ちゃんも大切な友達やと思っているからこそ、
その自信がなかった竹ちゃんに
裏切られたような気持ちになったんよね

夏休みが明けた学校で竹ちゃんに
そっけない態度を取ってしまった久ちゃん
このシーンは竹ちゃんのことを想うと
本当に悲しくて胸が締め付けられた
でもとってもリアルやなって感じる
もし久ちゃんが大人やったら
こんな態度は取らへんやろうけど
これぐらい年齢の子やったら
相手の気持ちの理解ができなかったり
自分の気持ちを優先することがあるよね

お父さんを亡くして
お母さんまでも失って
兄弟と離れ離れになって、
唯一の友達と別れることになって
それで眼差しは強くて泣かないって
竹ちゃんはほんまにタフやなぁ...
ほんまに強くてかっこいいなぁ...
もちろん元の人間性もあるとは思うけど
このタフの根源は人よりも辛い経験を
してきたことが大きかったのかなって
兄としての竹ちゃん、男としての竹ちゃん
どっちも本当にかっこいい
竹ちゃんの「バカが」が恋しい

竹ちゃんと久ちゃんの別れのシーン
望遠鏡の為に頑張って貯めていたお金を
全部つぎ込んで買った大量のサバ缶
久ちゃんなりの精一杯の気持ちに感動した
竹ちゃんは本当に嬉しかったやろうなぁ
武ちゃんと別れて涙を流す久ちゃんを
優しく抱き寄せるお父ちゃん
久ちゃんに感情移入していたから
この時のお父ちゃんがとっても大きく見えた
久ちゃんが父ちゃんに抱きついて、
号泣するシーンがこの作品で1番感動した

かっこよくないようで最高にかっこいい父
怒ったら恐ろしいけど愛で包んでくれる母
元気で笑顔がめちゃめちゃ可愛い弟
幸せの露骨な主張はないのに
愛がいっぱいでとっても温かい家族に
たくさんの胸の温もりと幸せを抱いた

主題歌の『キズナ feat.りりあ。』
オレンジレンジの中でもかなり好きな曲で
りりあさんの優しく落ち着いた声が合ってた
挿入歌の『自転車に乗って』も好き
エンドロール後に2人で釣りをしながら
サバの歌を歌うシーンも愛らしい
2人の友情は永遠に続くね

「サバ缶を観ると1人の少年を思い出す
 その少年とは今も友達だ」
もこもも

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