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サバカン SABAKANのsonozyのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.0
脚本家・金沢知樹の初監督作品で、監督の故郷である長崎県長与町などを舞台に、実体験も織り交ぜて描かれる、小学5年生の久田(ヒサちゃん)と竹本(タケちゃん)の友情。

作家にはなったものの、妻とは離婚。定期的に会う娘の養育費も滞りがちな、ゴーストライターで生計を立てている久田(草彅剛)。
「サバの缶詰を見ると思い出す少年がいる。」という優しい語り口と共に、1968年の少年時代の夏物語が始まる。

このオシャレなビジュアルやSABAKANというローマ字とはギャップがある内容でしたが(このギャップが成功してますね)、のどかな夏の風景と共に郷愁に浸れました。

ヒサちゃんを演じた優しいキャラの番家一路(ばんかいちろ)くんと、タフなタケちゃん役の原田琥之佑(はらだこうのすけ ※原田芳雄の孫。本作がデビュー)くんとのコンビが最高。
特に、日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞した番家一路くんの頼りなさげで表情豊かな演技がいい!

斉藤由貴のポスター。キン消し。
ブーメラン島への冒険。
そしてタイトル「サバカン(サバ缶)」の意味。
「じゃあね。またね!」「またね!」

ヒサちゃんの両親役の、尾野真千子・竹原ピストル。
いとこの亜子役の福地桃子。
漁師だった夫を亡くし5人の子供を女手一人で育てるタケちゃんの母役の貫地谷しほり。
久田の元妻 弥生役の村川絵梨。
ヒサちゃんが気になっちゃう由香役の茅島みずき。
みかん農家の内田のじじい役の岩松了。
みんないい。

エンディングテーマ、ORANGE RANGE「キズナ」♪のカバー(プロデュース: ANCHOR、歌: りりあ。)もいいんですが、監督が熱望し作品自体をこの曲に寄せた部分もあるというほどの思い入れだそう。りりあ。の歌声と共に本作とリンクする歌詞が沁みます。

そもそも、草彅剛さんが小説を読む形のラジオドラマとして制作されていたものがある事情で公開されなかったという経緯があったようですが、『半沢直樹』、Netflixオリジナルドラマ『サンクチュアリ -聖域-』などの脚本を手掛ける金沢知樹の初監督作品、ほっこり優しい気持ちになれる素晴らしい作品でした。
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