たむ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのたむのレビュー・感想・評価

4.0
アカデミー賞最多ノミネート、という結果はきっと製作している時は誰も想像出来なかったのではないでしょうか。
マルチバース世界を描き出す、ノンジャンルなアクションコメディです。
マルチバースは、可能性について何でもありな一方で、MCUを大混乱に陥れている扱いの難しい題材です。
なるほど、こうすればいいのか、と新しい物語、映画の可能性を切り開く作品に仕上がっています。

主婦エブリンを主人公にしたマルチバースは、あの時、別の選択をしていたら、という可能性の世界でもあります。
マルチバース最大の敵は娘、という設定も彼女の彼女を中心にした世界です。
内面の世界を旅するのにも似た感覚がありますが、それは彼女にとって気づかないほどの出来事が大きなトラウマとなって行動を決定付けていた事に繋がっていきます。
複雑な構成や新しい物語ほどテーマは普遍的。
本作もそんな一本で、複雑で何でもありになりそうになると、テーマに帰っていきます。
なので、壮大な世界観が拡大しても集約していく面白さがあります。

『スイス・アーミー・マン』の監督なので、下品な描写の数々がアカデミー賞が許容するか、は気になるところですが、久々に新しさを感じさせる映画ですね。
たむ

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