ジジイ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのジジイのレビュー・感想・評価

3.5
マルチバース全体から見れば、ランドリー店バージョンのエブリンはかなりの負け組なのかもしれない。だがその落ちこぼれゆえに無尽蔵のポテンシャルがあるという設定は泣かせる。それはまるで未だ何者にも成りきれていないが、逆にどんな自分にも成れる可能性を秘めた小さな幹細胞のようでもある。社会で成功をおさめたり順風満帆の人生にはやはり憧れてしまうけど、挫折や苦悩が一切存在しない人生は、それはそれで怖い気がする。人と人を分断するものは怖れからくる憎しみであり、その憎しみの正体は「愛されたい」「解り合いたい」という欲求そのものの裏返しなのだろう。映画の発想は面白いけど、ちょっと長いし期待しすぎたのかそこまでハマらず。
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