男性社会の中で女性たちが(ひいては男性たち自身も)失ってきたものの重さを改めて突きつけられる映画。面白かった。自分を愛して、素の自分をそのまま受け入れること。動物としての己の肉体とその生理を理解し解放>>続きを読む
面白かった。ほぼ「ガーディアンズオブギャラクシー」を観ているような錯覚を覚えたから、それと知らなくても監督が誰かすぐに分かりそうな作品である。それにしても、ここまで人間臭く、泣かせるスーパーマンがいた>>続きを読む
(再投稿)フランス人のヴァカンスにかける情熱と悲喜こもごもについては、ロメール作品なんかで散々触れてきたつもりだったけど、ジャックロジエのヴァカンスものも独特でいいなぁ。全編ゲラゲラ、わちゃわちゃして>>続きを読む
面白かった。ハンスジマーの劇伴と迫力満点のレースの映像に終始胸が熱くなった。F1レースの知識がなくても楽しめるように作られてはいるが、基本的なルールやピットインの駆け引き、セーフティカーによるレースの>>続きを読む
少し長く感じたが面白かった。特に前半は素晴らしかった。挫折篇はもう少し描き方があるような気もするが、原作どおりなら仕方ないのかもしれない。舞台のシーンはどれも圧巻で、歌舞伎ファンが何というかは置いてお>>続きを読む
映画としては前作の方が楽しめた印象。もちろんアクションシーンはハラハラするし、トムの身体の張りようは今回も笑えるくらいすごいのだけど。AIの暴走と核戦争の恐怖という、描き方が難しい局面のパートがどうし>>続きを読む
フランソワオゾン監督作品。パリを離れブルゴーニュの片田舎にひとりで暮らす80歳のミシェルを休暇で娘と孫が訪ねてきて…という物語。この監督にはどうしても一定の毒のようなものを求めてしまうので、その意味で>>続きを読む
50歳の誕生日に長年続けてきた番組の降板を突然言い渡されたエリザベス(デミムーア)は、怪しげな再生医療の存在を知りつい手を出してしまい…という物語。女性の外見に対する社会的圧力や若さへの執着というフェ>>続きを読む
冒頭から音楽と映像がかっこいい。1969年作。もっと難解な映画を想像していたが、意外にも真っ当なミステリーであった。ある若者が旅の途中で出会った母娘に、家出した息子と間違われて…という物語。行方不明の>>続きを読む
チャンイーモー1991年の傑作。面白かった。1920年代の中国。家計を助けるため大学を辞め、お金持ちの商家の第4夫人になった女性の物語。夫人たちはそれぞれ独立した住居を与えられており、主人の「お渡り」>>続きを読む
スコットハイムの原作小説をグレックアラキが映画化。2004年作。ブレイク前のジョセフゴードンレヴィットはじめ、ミシェルトラクテンバーク(「ゴシップガール」)、メアリーリンライスカプ(「24」シリーズ)>>続きを読む
評判どおり素晴らしかった。ただそれを言葉にするのはひどく難しい。最小限の台詞と劇伴、そして自然音。いつしか観客は否が応でも五感を研ぎ澄まして画面に集中することを強いられる。前半は森や河や暗闇が若者を今>>続きを読む
ギョームブラックの38分の短編映画。面白かった。これがドキュメンタリーとは、にわかには信じがたいが思えばこの監督の作品では、役者ではない人々がカメラの前に「不自然なほど自然に」存在していて、それが不思>>続きを読む
エドワードヤン1996年作。詐欺グループの四人の若者の物語。面白かった。戒厳令が解かれ経済が目覚ましく発展していた90年代の台湾のエネルギッシュな空気がみずみずしくダイレクトに伝わってきた。空虚な人間>>続きを読む
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あの世を「片思い世界」と表現した坂元裕二をまた好きになってしまった。「ファーストキス」もそうだったけど細かい整合性はどうでもよくって、もしこうだったら人はどんな感情になるのかという、その部分のリアリテ>>続きを読む
黒人のドラッグクイーンと彼を暴行した白人男性の恋?の物語。はっきり言って男同士のセックスシーンがてんこ盛りで大変だったが、なかなか面白かった。このテーマの映画では「ブロークバックマウンテン」が大好きな>>続きを読む
「ディーパンの闘い」「パリ13区」のジャックオーディアール監督の最新作。麻薬王が性別適合手術を受けるというアイディアは面白く、そこに歌やダンスが差し込まれて、まるでアルモドバルmeetsボリウッドとい>>続きを読む
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ローレンスがやむにやまれず自らの名前を書いて投票した瞬間、爆風で窓が吹き飛ぶ。このシーンが面白い。まるで前教皇が、神が、それを許さないと強く主張しているようだった。この事件は同時に排外主義のテデスコの>>続きを読む
全ての映像、動き、言葉、音、沈黙、色彩が作り手その人の呼吸そのものであるかのように感じた。人物に余計な感情表現をさせないとか、所作を細かいところまでコントロールするとかは小津安二郎とものすごく近い監督>>続きを読む
3歳上の兄アベルのいる小学校に入学した妹ノラは人見知りで学校生活が不安で仕方ない。友だちもなかなか出来ず、加えてアベルは上級生にいじめられているようだが、主夫で送り迎えをしてくれる父親にも相談できず…>>続きを読む
あっという間の2時間21分だった。一瞬たりともダレる部分はなくとにかくディランの、シャラメの歌声に浸り切った。オリジナルではない既存の楽曲が単なる劇伴ではなく、その歌詞が台詞としてこれほど機能している>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
主人公がアニーという呼名にこだわることからも、いつか王子さまが現れて…というプリティウーマンみたいな話をどこかで信じる気持ちが、冒頭から彼女とそして観客に共有される。だが現実はそう甘くない。正直、カン>>続きを読む
エイドリアンブロディがハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロートートを演じ、第二次世界大戦後のアメリカでの彼の波乱万丈な人生を描く。何人かのモデルがいると言われているが、基本的にはフィクションである。前編>>続きを読む
市民による政府への反抗議デモで揺れるイラン。国家公務に従事する一家の主イマンは護身用に国から一丁の拳銃を支給されるが…という物語。長かったが、面白かった。正直後半は「何がしたいん?」という疑問で頭がい>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
妻は15年前の夫に恋をし、夫は15年後の妻に恋をする。「その日自分が死んだから15年前の今日君に出会うことができた。」15年後の妻に出会った男がまた君に会いたいから、もう1人の君と結婚したいと言う。そ>>続きを読む
「ソウルの春」を観て1979年の朴大統領暗殺について知りたくなった。暗殺は当時腹心であったKCIAの部長金載圭(イビョンホンが演じる役名は別)によるものだ。朴大統領は独裁者という側面と韓国の高度経済成>>続きを読む
ジェシーアイゼンバーグ監督作品。ニューヨークに住むユダヤ人の従兄弟の二人が、亡くなった祖母の故郷であるポーランドを訪ねる物語。主演の俳優が正反対の性格の二人の役にぴったりとハマっていて笑った。キーラン>>続きを読む
アルモドバル監督作品。末期がんを患う元戦場ジャーナリストとそれを支える作家の友人の物語。奇抜な設定もなく、誰の身にも起こりうるような出来事が描かれている。極めて重いテーマを扱いながら、これが初共演とな>>続きを読む
記録。1979年の朴大統領暗殺で18年に及ぶ軍事独裁がようやく終わりを告げ、民主化の訪れ「ソウルの春」を期待する機運が高まった矢先の軍部によるクーデターを描く。負の歴史とでも言うべき極めて重い出来事を>>続きを読む
筒井康隆の同名小説を「桐島部活やめるってよ」の吉田大八監督が映画化。大学教授をリタイアし妻にも先立たれた77歳の仏文学者の物語。主人公の年齢までまだしばらく猶予はあるけれど、すでに他人事ではない気もし>>続きを読む
新聞記者の夫とその妻は週末ヨットに乗るために湖に向かうが、途中ヒッチハイクの若者を拾って…という物語。面白かった。含みのある間とカメラワークにジャズが加わって鳥肌が立つ。世代間のマウントの取り合い、経>>続きを読む
長い独裁政権が崩壊して間もない南米のとある国で嵐の夜、岬にある一軒家で夫の帰りを待つ妻。夫は車がパンクし通りがかりの男に送られて帰宅するが…という物語。面白かった。戯曲を映画化したもので、登場人物の男>>続きを読む
本作の原作は2009年のオランダ小説「冷たい晩餐」で、これまで数カ国で映画化されているが韓国版では父親たちの弁護士と医師という職業、子どもたちの大学受験という設定が追加されているという。監督はホジノ、>>続きを読む
「奇跡の海」「ダンサーインザダーク」以前のラースフォントリアー作品。テレビシリーズをまとめたもので279分。「ツインピークス」が世の中を席巻していたのが少し前だから、その影響は大きかったのだろう。沼地>>続きを読む
戦中行方不明になっていたエゴンシーレの「ひまわり」がフランスの郊外で見つかり…という実話にインスパイアされた物語。面白かった。優秀な競売人と虚言癖のあるアシスタント、同業の元妻と絵画の持ち主の若者。そ>>続きを読む
初アンゲロプロス。素晴らしかった。もっと難解なんだろうなと敬遠していたがそうでもなかった。「ふたつの眼差しを出会わせ歴史と映画が交わるようにしたかった」という監督の言葉どおり、個人史と映画史とバルカン>>続きを読む