マルチバースを舞台にした
痛快ドタバタコメディSFアクション・ヒューマンドラマといった感じで
まあしっちゃかめっちゃかごった煮な作り。
でも決して話が分かりにくいこともなく
きちんと丁寧に順序立てて作られており
笑えてスカッとして最後ほろりとくる絶妙の塩梅。
本作に出てくる人たちはみな容姿的にも"普通の人々"で
(ミシェルヨーを普通というには語弊があるかもだが)
とにかく人生うまくいっていない。
言語・人種・性的指向・信条など乗り越えるべき壁は山積み。
でもマルチバースでeverything、everywhereを体験することで
everyoneのpossibilityを認める優しさを身につける
多様性の受容・家族間の絆を強めるという展開は
よく思いついたし、
またこの物語をよく映像化したなあと感嘆するばかり。
世界的・時代的なムーブメントとして
ポリコレ要素は大いに入っているので
気になる人はどうやっても受け付けないんだろうが
全く説教臭くなくてB級アクションとしてゲラゲラ笑えるので楽しい。
こういう作風ができるのがA24の強みだよなあと痛感。
予告編じゃお間抜けに見えた
三つ目のミシェルヨーは超カッコいいし
みんな大好きキーホイクァンももちろん最高なんだけど
個人的にはジェイミーリーカーティスの役所が好きなんだよねえ。
嫌な感じのフランス訛りの役所の人が
いきなりマイケル殺すウーマンみたいな怖い人になったり
終盤にかけてだんだん切なくなっていくのが本当にもう大好き。