Itotty

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのItottyのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

mcuのおかげでお馴染みになったマルチバースの世界観。
それを一本の作品の中で、めまぐるしく転回してて、笑って泣いて、めちゃんこよかったです!!


まず、今回のマルチバースの呼び出しギミックがおもしろい!
アホみたいなことしたら別のユニバースの自分を呼び出せるのもおかしいし、変なイヤホンみたいな機械も謎すぎる笑
そんな子どもっぽい仕掛けを使っておきながら、別バースの自分との交流を通して、今の自分の人生を見つめ直させてくれるという。なんという壮大な人生問答なんでしょう!

そして、あらゆるバースへの移動が可能になった娘ちゃんとの戦い。
同性愛への無理解をはじめ、いろんな世界線における虚しさを経験した故に、全てを無にしてしまうベーグルを作り出して、お母さんを誘う。
自分の人生も虚しいものだった。
そして自分がジャンプしたどの人生も決して全てが満足ではない。
だったら、無に帰した方がいいのではないか?
ニヒリズムとの戦いだったように見えます。

でも、やっぱりそこで踏みとどまらせてくれたのは、愛する夫でした。
コインランドリーの自分は地味で税金に追われてつまらないかもしれない。
1番自分が憧れるカンフースターの自分には、金も名誉もあるけれど、愛するあなたがいない。
決してどのバースの自分も、今の自分と無関係なものじゃないし、どの選択をした自分も間違いじゃないけど、そこに必要なのは優しさであり愛なんだって、気づかせてくれたのが旦那さん。
なんも間違ってなかった。運命の人。

娘ちゃんも本当は愛して欲しかったんだよね。寂しかったんだよね。
石ころになってまで人生の意味を問い続けたんだもんな。
でも一緒にお母さんが石ころになってくれたのはきっと嬉しかったろうな。石ころで追いかけてくれるなんてさ。
ラストの車に乗ろうとするところの顔も本当に寂しそうだった。
だからこそ、お母さんの愛が届いたときは本当に嬉しかった。

どんな人生だって希望を見出すことはできる。
でもそれには誰かの何かの愛が必要。

大きな大きなマルチバースの世界を使って、小さな小さな優しさや愛の大切さを訴えたスケール感のコントラストが本当に爽快で、世界を少し愛おしく感じさせてくれました。

今の自分以外のおかげで今ここにいる自分。
そんな今の人生に感謝して生きていきたいな。


アクション、SF、人間ドラマ、家族愛、ホラー、あらゆるジャンルが揃った意味でもエブエブな映画。
総じてカオスだったけど、しっかりシンプルなメッセージにまとめるなんて、本当に映画って素敵だなって思います!
Itotty

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