Theylivebynight

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのTheylivebynightのレビュー・感想・評価

4.4
アカデミー賞で主要な賞を独占した時点で気づいておくべきでした。なのに、鈍感さゆえ、ミシェル・ヨーのマルチバース映画だと思って観に行ってしまった。それはその通りだったけど…。

その油断の前に展開された、家族/移民の物語。ベタを予感していれば身構えていたものを、不覚にもくらってしまい、中盤から(歌うシーンあたりから)うるうる、後半は嗚咽に近く…。これでもかというほど、人生の可能性を見せつける力技と、at all onceへの収斂に愛が溢れて堪えられなかった。You only live onceだといえば、それまで。だけど、娘を認めて尊重する一回性に到達するまでの苛烈さよ。セクシュアリティに関する表現は、好き嫌いはあるけど、制限は抑圧にもなりえる。ベーグルはゼロ(無)ってことですかね。とにかく、すべての家族、ことに移民家族たちへの讃歌。娘さんの、冴えない感じが、ものすごくいいです。

ただ、泣き晴らしていた人がいる一方(隣のスーツの男性もめちゃ泣いてた)エンドロールの最中から、大声でものすごく文句を言ってる人もいた。確かに、シンプルベタでいい人にとって、この迂回はいらないですよね。それは、わかりますけど。
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