国家権力

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの国家権力のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

マルチバースの存在が知られたとある世界、女性科学者エブリンは、通常ならば絶対に行わない"突拍子も無い行動"をトリガーに、異世界の自分に乗り移る方法《バース・ジャンプ》を発見した。
そんなエブリンは、自分の娘を《バース・ジャンプ》の被験体とした実験に失敗してしまい、娘は全ての自分のマルチバースを一度に体感してしまう。そして娘は、全マルチバースの自分の能力・情報を会得し、自由にマルチバースを行き来できる、闇の王ジョブ・トゥパキと化し、母エブリンを殺害する。
そして、ジョブ・トゥパキの企みによって、この世界《アルファ・バース》のみならず、全てのマルチバースが破滅の危機にさらされることに。
エブリンの夫であるウェイモンドは、全宇宙の危機を救うべく別の世界のエブリンに助けを求めることに。
腕のいいシェフのエブリン、ピザ屋の看板を器用に回すエブリン、スター歌手のエブリン、カンフーを会得し、アクションスターとなっているエブリン。
様々な才能を開花させているマルチバースのエブリンの中から、ウェイモンドが選んだのは、全ての選択に失敗し、あらゆる挑戦に挫折し、夢をあきらめ、駆け落ち先のアメリカでコインランドリーを経営し、洗濯と税金に追われる日々を過ごす、くたびれたエブリンだった。
という設定で、コインランドリー経営のエブリンが主観の、普通の中年女性が突然世界の命運を託される、という話。

大して情報入れずに、ミニシアターで適当に選んで見たため、「低予算B級コメディかなー」とか思ってたけど、蓋を開けたらバリバリ金かけまくったハードSFだった。

設定や映像表現としては、君愛僕愛、STEINS;GATE、インセプション、千年女優、パプリカ、マトリックス、まどマギあたりを思い出す。

「ついていけない」という意見をちょいちょい見るが、マルチバースものの作品にいくつか触れていれば、初見でだいたい理解はできると思う。
ノーラン映画に比べると大分わかりやすくない?

"世界の理から外れるために変な行動を取る"という、なんとなく理にかなっていそうで、なおかつ大喜利ポイントを入れられるアイデアは素晴らしい。

ディアドラのトロフィーは「アナルプラグじゃねぇか」と思ったら、本当にそれだった。

ストII'レインボー(改造ROM)の如くコロコロキャラ変武器変する異能力バトルも視覚的に楽しい。
他世界を同時認識できる人間同士のバトルの映像化なんてよくやろうと思ったなぁ。
"他世界を観測し、相手の願望を叶えて戦力を奪うアクション"なんてのも、今までに見たことも、考えた事も無いアイデアで感心した。
アクションもいいけど、数多の世界のエブリンが目まぐるしく変わる、てんかん持ちならぶっ倒れそうな映像や、一気に動から静に変わった岩のシーンも良い。
岩のシーンは声出して笑いそうになったけど周りが静かだったので我慢。

靴嗅がせて目覚めさせるのは、オトナ帝国のオマージュ?
国家権力

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