Jun潤

声/姿なき犯罪者のJun潤のレビュー・感想・評価

声/姿なき犯罪者(2021年製作の映画)
3.6
2022.10.14

予告を見て気になった案件。
最近衝撃を受けがちな韓国サスペンス作品。

工事現場で働く元刑事のソジュン。
仕事も順調で、妻とも仲睦まじく幸せな気分だったが、その生活は一本の電話で急変する。
妻にかかってきた振り込め詐欺の電話から手繰り寄せていく、巨大犯罪組織による大規模詐欺計画の全貌。
妻の復讐を果たすため、これ以上悲しむ被害者を増やさないためにも、ソジュンの命懸けの捜査が始まる。

映画の規模も違えば犯罪の規模も違うなぁ。
これが日本のように高齢者のみを狙った卑劣で、かつすぐにバレそうな単調な詐欺ではなく、むしろそういうのに引っ掛からなさそうな若者を狙って実際に被害が出ているのだから、恐ろしく周到で悪質な様子が伺えます。

序盤は組織に属していないからこそ、大胆な行動をとることができるソジュンと共に、緩急をつけて事件の流れに巻き込まれていくような感じがしましたが、徐々に明らかになる全貌が大きくなりすぎて少し食傷気味に……。
後半も頭脳戦というよりは、やはりというかなんというか、肉弾戦アクションのみになってしまったのが少し残念というか、既視感が強めでした。

作中のセリフから振り込め詐欺に対する警鐘的なわかりやすいメッセージがありましたが、あくまで被害者は悪くないんだぞということに言及したのもさることながら、人を簡単に変えてしまう金の汚さ、金よりも軽く扱われている命、そして詐欺犯罪は無くならないということを、人間臭いキャラクターでもって、苦々しさも残したまま終わらせる形はスッキリしないまでも、リアリティがあって良かったです。
Jun潤

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