Takamasa

すずめの戸締まりのTakamasaのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.8
総じて良かった。最後にちゃんとまとめ上げて感情の起伏もあり、満足感を与えることに感してやはりセンスがある。
ただ冷静に見ると中々欠陥のある作品、人によっては天気の子以下か。
今までの新海映画に比べてかなり多くの点が変わっていた。一番は歌詞付きがなかったこと。感動ポルノな部分がかなりなくなっており、わからない人にはわからない映画になっていたかも。ここの点で興行の部分で今の映画の流行から逆行しているので成功するかどうかわからなそう。
前半が少し長く感じ、必要な部分であったがいつもなら音楽でテンポ良く行ってた部分を丁寧に行ったので、中弛みを感じたのかも。いつもの新海映画なら割とTVアニメの3話分を合体させましたとわかりやすい構成だったが今回それが分かりにくかったのも大きく変わった点だった。今までの評価に関して嫌気がさしたのか、今回は作家生として大きく変わった作品だった。
かなりオマージュが多く、新海の本来やりたかったことを詰め込んだ感。1Q84味を割と感じた。あと魔女の宅急便、ラピュタ。映像に関してはかなりチャレンジしており、こっちの方向に新海の才能があったことに驚き、椅子のアニメーションはまさしく新しいアニメーションがあった。意外と3Dアニメとか得意そう。
テーマとしてはかなり重めな事が扱われており、今までの恋愛的人間関係よりも、社会的な気持ちの部分が多かった。コロナの影響だろう。特に震災を扱った事はかなりチャレンジだったと思う。天気の子しかり、こっち側にかなり思い入れがあったよう。日本のテーマというものを取り扱い続けるところはメジャー監督になったのだなと感じる。作品としてやりたかったのはあのラストシーンなのだろう。かなりこの感じを似た作品があったと思うが、忘れてしまった。恋愛というより、自己の成長と未来に対する不安感への救済。今の日本を切り取った、今の映画だった。
アクションあり、時代性あり、感情の起伏あり、で映画としてかなり完璧。この要素を抑える点で本当に天才だと思う。
総じて良かった。見れて良かったが、君の名はほどではなかった。ただ新海誠にとってかなり意味のある作品だったと思う。
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