いとぉ

すずめの戸締まりのいとぉのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2022/11/12鑑賞。

まず、感じるのは「これをテーマにしていいのかよ」と言うところ。

そして全体としては、新海誠過去作品の要素を混ぜつつ、ジブリ(もののけ姫)+細田守(サマーウォーズ)の要素が部分的にミックスした作品。

日本を北上する際に色んな人々にお世話になる様は天気の子の須賀さんにお世話になるのを繰り返すように。

「みみず」が色といいうねり方といい「タタリ神」に、扉を戸締りすると言う行為である意味討伐する閉じ師:草太は「アシタカ」のように。

「お返し申す!」で「キーを差し込む」のもサマーウォーズでの「よろしくお願いしまぁぁす!」で「エンター「キー」を押す」かのように。


「君の名は」「天気の子」「すずめの戸締り」に一貫してる事柄として、「彗星の落下」「異常気象」「地震/震災」と人智を超越した抗えない自然現象を取り巻いて起きているという事。

その中でも、「君の名は」では、タイムリープを経て主人公がヒロインを救い、結果、糸守の人々を救った反面、「天気の子」で帆高は陽菜というヒロインと世界の安寧を天秤にかけた結果、ヒロインを選択するというエゴを見せある意味では世界の人々を捨てたという判断をしたが、「すずめ」では「君の名は」と似たテイストで男女反転して女主人公が草太(=ヒロイン)を要石から解放=救出、みみずも押さえ込んで地震を防ぎ、晴れて世界は救われたという筋道。

だからなぜか既視感はあったし、予告編でも地震の下りと日本を行脚していくという話は掴めていたのでもしや「震災扱うのか?」と思ってたがまさかその通りだった。

自分(24歳)自身、震災経験者だが、やはり扱うテーマとして明らかに一定数の人間のトラウマを抉るのは間違いなくて、それを承知で作ったのならいい気持ちはしない。
それに、あそこまで劇的なトラウマを背負ったヒロインと似たような観客はそうはおらず、悲しみに感情移入するにもハードルがある。

まだ考察しきれてないが、「君の名は」「天気の子」ほど難解な伏線が秘められてる感じではなく、「常世は全ての時間が溶け合う」のところである意味タイムリープみを感じ、現在軸と過去軸が溶け合う、自分の存在が重複していいと気づいてからはラストが想定出来てしまったので、前作2作と比べてある意味分かりやすい作りではある。

ただ、天気の子と通じる主人公のエゴで始まる物語にせよ、ただうっかり要石を退かしてしまったことが問題など、なんかパッとしない。要石も結果、ダイジンにもう一度やってもらうことにもなり何だったのかが分からなくなる。


若干まとまりがなくなってきたのでそろそろ筆をおくが、ハッキリいって正直、前作2作の方が好きである。何かしらの既視感・ある意味分かりやすいストーリーで目新しさも薄弱。

もし、この映画を狙う層がそれこそ被災当時4〜7歳くらいで記憶が曖昧になってるかもしれない16〜19高1〜大1くらいになった世代に戒めとして震災をテーマにしたなら、まだ気持ちはわかると思うような映画でした。
いとぉ

いとぉ