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すずめの戸締まりのmitakosamaのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5
新海誠新作。個人的には天気の子以上・君の名は未満、という内容だなぁ。

宮崎県の女子高生・すずめは、「閉じ師」の青年・草太と出会い、「後ろ戸」となっている扉を開けてしまい日本を地震から護っている「要石」を解放してしまう。
要石は猫のダイジンとして、草太を椅子に封じ込めてしまい日本を縦断。すずめは椅子になった草太を連れダイジンを追う。

先ず、すずめの名字が岩戸だ。明らかにこれは日本神話の天の岩戸の前で踊ったアメノウズメの暗喩だろう。だがアマテラス=太陽の籠もる岩戸を開けさせたウズメと、震災を押さえた要石を放出したスズメは似て非なる設定だ。この辺の意図がどういうモノかはもう少し検討したいな。

そしてすずめと椅子の全国行脚だ。宮崎から四国・神戸に行き東京へ。さらにすずめの故郷・宮城へ。日本中に巡礼聖地を設けてるな。各地で出会いと別れを描くロードムービーのテイストだが、廃墟の多さが特徴。

要石を解放してしまった為に大地震の危機へ。そしてすずめが幼少時に経験した東日本大震災に触れる。君の名はは隕石墜落。天気の子は集中豪雨。そして今作の震災と、いま新海は災害を一つのテーマにするようになったね。

しかしダイジンの立ち位置が妙にボンヤリしてるのが気になる。明らかに最初は邪悪な存在として描いていたが、実は後ろ戸を案内し震災を警告したと言い、最終的には要石に戻る。
でもそしたら何で草太を椅子に封じ込める「呪いをかけ」たのか?なんか前半の邪悪さが意味不明なんだよなー。ミスリードと言えばそれまでなんだけど、いまいち釈然としない。

また、すずめが持っていた母の形見の椅子は、幼少時に時空を超えて大人になったすずめ本人から手渡されたモノだと判る。これは明らかにタイムパラドックスだ。そしたらその椅子はどっから沸いて出たんだ?????

東日本大震災をテーマにした点では、岬のマヨイガと被る。この2作はセットで見たら良いんじゃ無いかな。
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