どうして、新海誠監督の作品は自分の生活とこんなにも重なるのだろう。
自分が作品との重なりを求めているからなのか、監督がひとりひとりの視点を想定しているからなのかはわからない。
母と娘、叔母との関係、好きになることを知らない感情、旅先での出会い、別れ、自分をかけてまで守りたいかけがえのない存在、そんなごく日常にありふれながら、あたりまえに見過ごしてるものたちに光を当ててくれる。
鍵を閉めるということを通して、廃墟、人々が忘れ去った場所に対しての想いを馳せること。この消費が続く時代に逆行するかのように、記憶すらも消費されていく目まぐるしい社会情勢に対する問いかけのように、忘れていた、忘れようとしていた、見えないようにしていた、見なくてもいいようにしていた感情に火を灯してくれる。
単なるエンターテイメントで終わらない作品を、生み出してくれたことに感動した。