YusukeI

すずめの戸締まりのYusukeIのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

レビューを書くのにてこずりそうな、(レビューを書くために観ているわけではないですが)いろいろな感情が湧き出てくる作品でした。

新海作品は、美しいし、よく考えられているし、ジブリとはまた違ったメッセージ性で、それを発信しようと努めている作品が多く、
今回も楽しみに観てみました。

ファンタジー色が強いながらも、声優の良さは、映像の美しさは、子どもから大人まで楽しめるし、ストーリーの展開も“ロードムービー”として楽しんで観れると思います。


劇場で配られる「新海誠本」にも書かれていますが、
3.11を題材にしている作品だと。
ちょっと前情報が無いままの観賞で、冒頭に出てくる、建物の上に船が乗っているカットを見た時に、胸がザワッとしました。
日本に起きる様々な災害を、古典の神話を引用しながら、ファンタジーを加えて描いている。それと現実の3.11を題材にした時に、正直胸がザワザワしながら最後まで見ました。

あの災害が、ファンタジー要素のもと起きたと描かれた時、私はその時東北にいたわけではなく被災もしていませんが、何かザワザワした感覚を持つのは自分だけではないのではないだろうか、むしろ直接あの災害を被った方々はどう見るのかと思ったのは本音です。

ですが、「新海誠本」を読んだ時、新海監督ご本人は相当の覚悟を持って、この題材に臨んだと仰っていました。あの災害を悼みながら、“エンタメ”としてどう伝えていくのか。

主人公のすずめは、子どもの時に被災してお母さんを亡くし、10年以上経って、扉の中であの時の自分に語りかける。
扉を開ける時に聞く、あの時にあそこで生きていた人々の声、
死はいつも隣り合わせだけど、生に執着しようとする姿勢が描かれているようで、
とても感動しました。

3.11の時、とても無力に思って、何度かボランティアに行かせていただいて、
被災された方々の逞しさに、心から尊敬した自分がいたので、
この映画ではザワザワして怖くて辛くて涙が出てきたし、感動もして涙も出て、終わった時には爽やかな気持ちにもなりました。

なので、たくさん書いてしまったけど、
とてもレビューを書くのが難しかったです。

でも、これは心に残る映画だと思います。
YusukeI

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