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すずめの戸締まりのpokotanのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.9
思った以上にがっつりと震災を描いている。
知名度を上げヒット確実の新海誠監督が、ここまで直接的にエンターテイメントの中に震災を描くのもすごい。
よって、緊急地震速報の音など劇中に何度も出てくるため、トラウマになってる方は鑑賞時には十分に注意、覚悟が必要となる。

開けられた扉から出てくる地震の元となるみみずと呼ばれる災いを閉じるためのロードムービー。
幼少期に経験した東日本大震災がすずめのトラウマとなっていて、その心理が扉の向こうの常世で表現されている。
ラストの幼少期のすずめとの対峙が冒頭の夢のシーンとなる。
※帰ったあと、AmazonPrimeで冒頭の12分映像見返して気付いた。
扉を閉めたあと、震災で亡くした母親へ言えなかった言葉の「行ってきます」を言うことで、すずめは過去を受け入れて成長して、少し大人になった。

今作もRADWIMPSとのタッグということですが、前作、前々作に比べて、最後しかボーカル曲は流れず、曲自体が推されてないのも好印象。
※劇中のドライブで流れる懐メロ除く

また、ジブリに影響を受けてるんだろうオマージュもいくつかある。
魔女宅の曲「ルージュの伝言」の直接的なものや、猫。
また、耳すまってスマホ画面でのSNS投稿も。

相変わらず綺麗な絵であり、美しい中にある残酷性や恐ろしさを描く新海ワールド。
当たり前のように毎日飛び交っていた言葉が、3.11あの日一瞬で失われた。
多くの人が言えなかった言葉たち。
また、今言えることの幸せ。
ツッコミどころもないこともないけど、メッセージ性が強く震災を風化させない監督の意志がとても良かった。
やっぱり新海誠作品には不思議な力があり、もう一度観たくなる。
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