まさお

すずめの戸締まりのまさおのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8
新海誠 大作三部作のラスト。
首都の一極集中、高齢化、そして災害。あらゆる要因によって人の営みが断たれた場所は現実社会で急増している。鈴芽と草太はそんな「寂しい場所」に確かに存在した人の想いに耳を傾け、時間と空間そのものを閉じていく。前半にフォーマットとして繰り返させるそのシークエンスは日本に馴染みやすく、魅力的な設定だった。

閉じ師の扉を「閉じる」という行為は災厄を封じ込める儀式であると同時に、過去から未来に進んでいく意味も含んでいる。それは過去と訣別するのことと同義はなく、そこにあった時間に思いを馳せてこと前に進めるという本作の姿勢の顕れでもあった。このテーマは災害大国日本に寄り添った内容であると思えた。

本作では直接的にも間接的にもジブリのオマージュが多く用いられている。忘れないことが一種のテーマの作品でそれをやられると名作たちが勝手に方舟に乗せられて保管されていくようで余計なお世話感があった(被害妄想)。
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