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すずめの戸締まりのsilkのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2
新海誠作品の中で一番好きかもしれん!

総じて女性の物語だった。シスターフッド(女性たちの絆)が痛快に描かれ、物語の主体が常にヒロインだったのは、かなり刷新的。
すずめが椅子にキスするシーンは一見キモ描写に見えるが、眠れる森の美女で「王子が姫にキスすると目覚める」を男女逆転させてやってるのが秀逸。しかも草太が爆睡してるのにもちゃんと訳があるので結果的に良い描写だった。

震災を直接的に扱うのは時期尚早にも思えたし、リアルな地震の描写にはかなり精神的にやられた。特に今、東北に住んでいるので尚更。でも、クライマックスの台詞で映画に込められたメッセージを感じて、批判覚悟でこれがやりたかったんだなと。
あと、南海トラフが確実に起こると言われてる宮崎スタートで、過去に大震災が起きた土地を巡るロードムービーになってるのは上手い。

前作と同じく、この社会が誰かの自己犠牲の上でギリギリ成り立っている危ういものだと訴えるテーマは変わらず、コロナ禍でより強くその実感を持って鑑賞した。

松村北斗さんが美人にも椅子にも馴染む絶妙な声質で良かった。

🚨ちょっとネタバレ含🚨
3.11の時の戸締まりは…?と思って考えた結果。
要石は定期的に移動するらしいから、要石が移動するタイミングで大震災が起きるのか?と思った。戸締まりと要石を戻す作業は本来別物だから、要石が自発的に動くタイミングでは戸締まり関係なく大震災が起きるのかも。
監督は意図してないだろうけど、人が自然災害をコントロールできるみたいなミスリードを起こしかねないからそこは気になったかな。
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