ダメハム

すずめの戸締まりのダメハムのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.8
2022年の新海誠監督作品。
大人っぽい顔立ちながら子どものように表情がころころ変わる鈴芽がかわいい! 以上。

新海作品はいつもそうだ。これは2016年に『君の名は』を見て感じた虚無感と同じだ。あまりにもヒロインが一途で眩し過ぎる。前2作と同じでとにかく登場人物の感情の盛り上がりについていけず、ぽつんと置き去りにされて見ていて非常に居心地が悪い。やはり自分には合わない。

『東日本大震災を真正面から描く!』というが、別に悲惨な直接的描写はなく、緊急地震速報や心理描写ぐらいでとどめているので少し肩透かしを食らう。ここまで描いたなら鈴芽と母親の別れを描くぐらいはしてほしかった。

5日間の物語とは思えない濃密さは感じるが、息を飲むリアルで美しい背景描写にドラマが伴っていないのが残念。あの世界の美しさに薄気味悪い何かを感じてしまった。設定の深掘り不足を圧倒的なテンポの良さと勢いでカバーしてるが正直ふに落ちない。

そして鈴芽が草太の祖父に語ったあの告白も急過ぎて戸惑ってしまう。鈴芽の草太(椅子)に対する感情を恋愛と呼んでいいのか分からない。この2人の距離感をつかめなかったのが、この映画にはまれなかった最大の要因だったと思う。

染谷将太が声を当てた岡部が特に話に絡まなかったのももったいないね。

千果とルミの鈴芽に対する度が過ぎるほどの親切心が不自然で少し気味悪く感じてしまった。でも、全ての登場人物の良く言えば『無償の愛』、悪く言えば『お節介』がテーマだったり…?

どうも自分は新海作品に溶け込むことができない下手くそな人間らしい。
ダメハム

ダメハム